【歌い手】シェアハウスでの日常。season12

＊３８６＊一斉に到着するメール ページ11

＊

『占いの館の最後尾こちらになります！』

『おっ、おさないで並んでくださーい！』

そんな台詞を何回言っただろうか、あまりの人にくらくらと眩暈。

すると、ポケットに入れた携帯がヴヴヴ、と震えてメールがきたことを告げた。

携帯のロックを外し、メールをチェック。

送り主は天月くんのようだ。

“A、仕事どんなかんじ？3時くらいに中庭の巨大迷路に来てほしいんだけど、来れる？”

―…迷路って、あれか。
天月くんが言ってたやつか。

私は、“大丈夫！”と返信する。

時計を見ると、午後1時。
幸い、さっきおにぎりを食べる時間ができたのでお腹は空いていない。

よしっと気合を入れて、あと1時間半、がんばろうと思った。

＊

*まふまふside*

「びすくんお待たせ！」

大学の門まで行くと、びすくんが待っていた。
浮世離れした雰囲気に、しっかりと周囲の視線を集めながら。

俺がそう声をかけると、びすくんはちらりとこちらに視線をやる。

俺は、先ほどメールで天月くんからきた内容をびすくんに伝えた。

「ねえねえ、3時に中庭の巨大迷路に集合だって」
「…巨大迷路なんて、あるんだ」

びすくんの目が少しキラッと光った。
興味あるんだ、と少しおかしく思う。

「行く？」
「…天月さんに、呼ばれてるなら」

びすくんは、こくりと頷いた。

＊

*店長side*

「学園祭の出店もバカにできないね〜、美味しかったね灯油！」
「…ああ」

隣で話しているアンさんと灯油さん。
俺たちは、大学の廊下を歩いていた。

それにしても、すごい人。

…これなら、96ちゃんに出会うことも滅多にないだろう。

すると、携帯にきたメール。
見てみると、それは天月くんからで。

3時に中庭の巨大迷路集合、ということらしい。

どうやら、アンさんと灯油さんにも同じメールがきているらしく。

「じゃあ3時までに大体のだしもの周ろうね〜」
「…ああ。店長はどこ行きたい？」
「えっと、A、どこにいるんだっけ」

3時までに周ろうと決まったのだった。

＊

*96猫side*

「96ちゃんメイド服似合ってるから、そんな周りキョロキョロして警戒しなくていいのに。どうかした？」
「えっ…い、いやなんでもない！てか似合うゆーな！」

コニーに噛み付いて、裏でこっそりと携帯をのぞく。
やっぱり、先ほどのバイブはメールだったらしい。

見てみると、天月くんからだった。

「3時に迷路…？」

どうして急にそんなこと。

首をひねりながらも、私は“行ける”と返信した。

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