【イナズマイレブン】紺碧のイノセンス VII (ページ40)

今日:51 hit、昨日:27 hit、合計:393,328 hit

40話ページ40

「一青さんって料理できたんだね…」

『あはは、よく言われる』

挽き肉、豆腐、パン粉、マヨネーズ、塩胡椒、ナツメグ、さらにみじん切りにした玉ねぎを加えてこねたものを小判型に丸めていた木暮、水城、壁山。木暮ができ上がった小さなタネをトレイに並べると同時に投げかけた言葉に、水城は笑いながら返した。

『最低限の家事はできときなさーいって叩き込まれたからね』

「ふーん。確かに一青さん叩き込まれとかないとなんにもできなさそう」

『失敬なって言いたいところだけど、多分事実だから何も言えないなあ』

隣に立つ、料理をするからと髪を一つに結んだ(髪ゴムは緑川から予備のを貰った)水城を見上げ、木暮は今ではもう薄れつつある母の面影を重ねる。視線に気付いた水城が不思議そうに微笑むと、なんでもないと顔を逸らし作業を再開した。

「それじゃあ一青さん、いつでもお嫁さんになれるっスね!」

『…?その発想はなかった』

「まじかよ」

大きなタネをトレイに並べ、弾んだ声で壁山が言うと水城の手が止まる。自分が一人立ちしたときのためという認識であった水城の頭の中に結婚の2文字はなかったのだ。余談だが豆腐ハンバーグは大中小から選べるようにしており、順番に壁山、水城、木暮が担当している。

「それなら僕は旦那を虐げる舅になるよ一青ちゃん…」

「ええ…キュウリ揉みながら何言ってるんだ…」

「何かしでかしたらシメる役割も担う」

「しかも過激派…」

食事スペースの椅子に座りキュウリを塩揉みしながら、豆腐ハンバーグ担当の3人の会話をちゃっかりと盗み聞きしていた吹雪。風丸がキャベツを塩揉みしながら半目になり呆れ返る。舅の域超えてるだろ、と同じくキャベツを塩揉みしていた飛鷹は思った。

「吹雪は一青ガチ勢だからな」

「鬼道ガチ勢って言葉知ってたのか…」

米を研ぎ終わり暇を持て余していた鬼道と綱海。ちなみに同じく米研ぎ担当だった不動も早々に作業を終わらせ、今は端の席で肘をついて室内の様子を眺めている。調理場から油の跳ねる音や肉の焼ける音が聞こえ始めた。

「お皿足りないぞー」

「お腹空いた…」

なんやかんやしているうちに1時間が経過した。ソースやコンソメの香ばしい匂いが辺りに漂い食欲を刺激する。待ちきれないといった様子ですでに箸を持っている壁山に思わず苦笑いを浮かべた基山。そんな彼のいただきますの号令(いつもは円堂がしている)で、全員が夜ご飯を食べ始めたのだった。