34話 ページ34
「壁山、どうしてもっと前に出ない!突っ立っているだけがディフェンスか!?」
「守ることしか考えていないディフェンスなど、私のチームには必要ない!」
「!うおおおっ!!負けないっス────っ!!!」
「ぐうっ!?」
先日久遠に言われた言葉を思い出し、そして壁山はその真意に気付く。自分で持って上がっていくこともこれから先必要になるということを、久遠は壁山に伝えたかったのだ。ジョーのチャージをそれ以上の力で押し退け突破した壁山は前を走る虎丸にボールを送る。
「豪炎寺さん!!」
シュートと見せかけてカーメイのスライディングを
「でやあっ!!!」
「グレートバリアリーフ!!」
ファイアトルネードとも爆熱ストームとも異なるシュートモーション。綱海のザ・タイフーン(目金命名)からヒントを得たのか回転がかかったその必殺技は、爆炎を
それは水の壁に阻まれても回転を止めることはなく、やがて蒸発させ穴を空けるとジーンを巻き込みながらゴールに突き刺さったのだった。
「ゴ───────ルッ!!!豪炎寺の新必殺技が炸裂!イナズマジャパン逆転!!」
思わず実況席から立ち上がった角馬の高揚した声と、湧き上がる観客の歓声がフィールドに降り注ぐ。その直後に試合終了を告げる長い笛の音。イナズマジャパン、初戦突破だ。
「何故あのとき自分でシュートを打たなかった。スライディングタックルが届く前に打てたはずだ」
「…俺よりも、豪炎寺さんの方が確実に決めてくれると思ったので」
決勝点を挙げた豪炎寺は、喜び合う仲間たちを一瞥した後虎丸に尋ねる。平常より低い声の豪炎寺に一瞬気圧されるも、真っ直ぐと目を見つめながら言葉を紡ぐ虎丸。失礼します、と頭を下げると去っていった。
「……?」
虎丸の背中から視線を外した豪炎寺は一つため息をつき、そして気付く。いつもならすぐにハイタッチをしにやってくる水城がまだ来ていないことに。辺りを見渡すと唯一無二の白い彼女はすぐに目に留まる。
「すまないMs.ミズキ。君を、所詮女だと侮っていた」
『ううん、いいの、気にしないで。そう思われることは分かってたから』
ビッグウェイブスのキャプテン、ニースと握手を交わしていた。
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作者名:不二市 | 作成日時:2018年7月6日 15時