2話 ページ2
「今回はお前の方が遅かったな?」
「あっはははは…思いっきり寝坊しちゃって…!」
1週間前に響木から雷門中の体育館に来てくれとの連絡を受けた円堂。そして今日。乱雑に脱がれた靴の中に自分のも混じえてから入った体育館にはチームメイトの他に立向居、木暮、綱海、吹雪といった、3か月前に離れた仲間たちの姿もあった。
「円堂よお、だーれも呼ばれた理由知らないんだと。お前聞いてないか?」
「俺も何も聞いてないんだ」
大海原中のジャージを着た綱海が尋ねるも、円堂も呼び出しの理由は知らされていない。「監督は?」と館内を見渡すも、まだ来ていないようだった。
「そうだ、皆に紹介するよ!」
土方、武方(トライアングルZの右下)、目金(弟)、佐久間。そしてエイリア学園のグランとレーゼ、
「宇都宮虎丸!監督に呼ばれた一人なんだって!」
「っはじめまして!虎丸と呼んでください!」
全員の視線が集まったことでさらに表情を強ばらせるも、頭を下げ挨拶をする虎丸。鬼道にポジションを訊かれるとゴールキーパー以外はどこでもだと返す。
「皆さんとサッカーできるならどこでも…!」
その後に続いた言葉から彼らを尊敬していることが伺える。終始、緊張で肩は上がりっぱなしだった。
「なあ円堂…1人どうにもノリの悪い奴がいるんだけどさあ…」
話が一段落したところで綱海がそう言い「お前、知ってるか?」と舞台脇を見遣る。そこには到底サッカーをしそうにない、ポンパドールを櫛で整える不良のような風貌の少年がいた。
「俺、円堂守!君も響木監督に呼ばれたの?」
「だったら?」
「えっ…」
名乗ってから尋ねると素っ気ない態度で返され円堂は困惑する。まともに挨拶もできないのか、と食ってかかる染岡を綱海が肩を掴んで止めた。
「名前くらいは、教えてくれてもいいだろ」
「……飛鷹征矢」
ため息をついてから名乗る飛鷹。険悪な空気が漂ってきたそのとき、僅かな扉の隙間に体を滑り込ませ静かに体育館に入ってきた者がいた。何人かがそれに気付くも彼女は微笑みを携えた口元に人差し指を当てて制し、足音を消して円堂に歩み寄っていく。
「えっ冷たっ!?何!?誰!?」
『ふふっ、サッカーばかりせずにちゃんと勉強もしてた?キャプテン』
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作者名：不二市
| 作成日時：2018年7月6日 15時
