【イナズマイレブン】紺碧のイノセンス IV (ページ17)

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162話ページ17

「ええ!?やめてくれよ!!おやっさんとは親父の代からの付き合いだ、これくらいどうってことないさ!!」

「…いや、お前がいなかったら俺は…」

「腹減ってないんだろ、昨日も夕飯食べてなかったし。腹を減らすには、体を動かすのが一番だ!」

「…お前がいたから、爆熱ストームを完成することができた。ありがとう、土方」

まだ雷門を離脱して間もない頃、サッカーボールをただ見つめていた豪炎寺に、薪を背負いながら笑って言った土方。身体も精神も疲弊した豪炎寺にとって、それがどれだけ助けになったことだろう。礼を言った豪炎寺に土方は照れ笑いを返した。

「豪炎寺君、どうだった?久しぶりの雷門は!」

「………ああ、最高だ!!」

秋が尋ねる。今の雷門イレブンを見渡して、数秒置いてからそう答えた豪炎寺に雷門イレブンは満面の笑みを返した。豪炎寺修也、抱えていた問題も無事解決し、完全復活だ。

『…凄いなあ豪炎寺君。ね、吹雪君』

「……」

『あんなに嬉しそうなキャプテン、初めて見た』

「……」

『私たちも、あんな風になりたいね』

引き続き大海原のグラウンドを借りて、そして豪炎寺も交え練習する雷門イレブンを見ながら水城は吹雪に話しかける。あんな風とは豪炎寺の圧倒的な実力の方なのか、円堂や仲間に泣くほど帰りを喜ばれるほどの人望の方なのか、それは言った本人にしか分からない。

タオルの下から静かに吹雪が水城を見ると微笑まれる。水城がベンチに下がった直後とは違い今度はきちんと合った目に、吹雪は安心したように小さく、本当に小さく口角を上げた。自分を、見てくれている。吹雪は何も言わずに、ずっと握ってくれていた手を握り返した。

「豪炎寺だか幼稚園児だか知らんけど、ストライカーはウチやで!」

「エースのつもりだったのかよ?一青さんに得点率負けてるのに」

「なっ…エースとちゃう!クイーンやクイーン!!」

「いやそれこそ一青さんに負けてるだろ…」

「なんやとゴルァッ!!もうええわ!直接対決したる!!」

「えっ?」

フィールドの外から主に豪炎寺を見て話していたリカと木暮。珍しく正論を言っていく木暮だがそれにブチ切れたリカはフィールドに入っていき、豪炎寺に渡るはずだったボールを奪った、はずだった。

ボールは何事もなかったかのように豪炎寺の足下にある。それからリカは豪炎寺からボールを奪おうとムキになるが、結局リカがボールを奪えることはなかったのだった。