161話 ページ16
「ダイヤモンドダストのガゼル…。一体あとどれくらいエイリア学園にはチームがあるんだ…!」
そうこぼした鬼道の横をボールが通過した。円堂が投げたのだ。その先には豪炎寺。「円堂、」とどこか申し訳なさそうな声色でこぼす。
「分かってるって」
「…!」
「おかえり!豪炎寺!!」
「…ありがとう」
その言葉には待っていてくれたこと、信じてくれていたことなどいろいろな意味が込められていた気がした。そして豪炎寺は瞳子の方を向き「ありがとうございました」と頭を下げる。どういうことだ、と雷門イレブンは首を傾げた。
「あのとき監督が行かせてくれなかったら、俺はあいつらの仲間に引き込まれていたかもしれません」
「…さあ、なんのことかしら」
しらを切る瞳子だが、ここにきてようやく豪炎寺の離脱した理由が少しだけ分かった気がした。一之瀬が「あいつらって…」と言い、そこに被せるように「そいつは俺が説明しよう」と鬼瓦、そして土方がやってきた。
「豪炎寺が姿を消したのにはわけがある。妹さんが、人質状態になっていたんだ」
「えっ…夕香ちゃんが!?」
「エイリア学園に賛同する者と自称する奴らが妹さんを利用して、仲間になるように脅してきたんだ」
豪炎寺の離脱した理由を完全に理解した雷門イレブン。「そうだったのか…。でも、一言言ってくれれば…!」と納得しながらも自分たちも協力したのに、と円堂が言う。
「言えなかったんだよ、口止めされてたんだ。もし話したら妹さんがどうなるか、ってな。だから我々はチャンスを待つことにした。ときがくるまで、豪炎寺をそいつに預けてな」
「土方に…」
「おやっさんときたら酷いんだぜ、人を隠すには人の中とか言ってさ!まあうちは家族の1人や2人増えたってどうってことないけどな」
鬼瓦から話される真相。鬼瓦とは親が知り合いで豪炎寺を匿っていた土方。そして匿っていただけでなく、豪炎寺のレベルアップや新必殺技の爆熱ストームも土方のおかげだった。
「我々はまず、妹さんの身辺を探った。敵の実態が分からんし人質のことがあったんで、慎重にな。調査にはかなり時間がかかってしまったが、ようやく、妹さんの安全を確保できたんだ」
「ありがとうございます、刑事さん!」と事のあらましを聞いた円堂は鬼瓦に走り寄るとがばっと頭を下げる。鬼瓦は「礼なら土方に言ってくれ」と照れくさそうに頬を掻きながらそう返した。
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作者名:不二市 | 作成日時:2018年4月23日 23時