【イナズマイレブン】紺碧のイノセンス III (ページ19)

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116話ページ19

「サッカーボール…?俺ちょっと行ってくる!」

「お、おい待て円堂!」

「俺も行きます!」

少し離れた場所にあるヤシの木の隙間からサッカーボールが見えた。即座に円堂が反応して走っていったので慌てて鬼道と立向居が追いかけた。

『…キャプテン行っちゃったし、私たちも聞き込み始めよっか』

「そうだね。じゃあ俺は」

「ダーリンはウチと海でデートすんねんで～っ!!」

「ええええええ」

『…あー、じゃあ私はあっちの方行ってくるよ』

「じゃあ俺はこっちー」

「皆何かあったら連絡してね!」

普段中心の円堂と鬼道がいなくなったので代わりに水城が仕切って話を進める。一之瀬が島の内側の方を指差して行こうとするもその真逆、海の方へとリカが引っ張っていった。最後に秋が声を張ると全員が返事をして、その場から離れると聞き込みを開始したのだった。

「デートやーっ!!」

本来の目的を果たさず常夏の島を存分に楽しむ者。

「ザ･タワ───!!」

聞き込みで話しかけたつもりが絡まれ、ついに必殺技を繰り出して撒く者。

『人が見当たらない…』

真面目に聞き込みをしようと思っても人を見つけられない者、さまざまだ。

『…あ』

水城がいる所は円堂が走っていった方角と近く、民家がぽつぽつと並んだ区域だ。

『大丈夫ですか?手伝いましょうか?』

「……?ぁら～!しにチュラサンな子!」

場所を変えようかと視線をさまよわせた水城の目に止まったのは、食材がぱんぱんに入った袋を四つも持った中年の女性。持ちきれず引き摺っているところを見つけ声をかけたのだが、返ってきたのはどぎつい方言。これはちょっとやらかしたか、と水城は頬を引き攣(つ)らせた。

「ワッサイビーン。てぃー伝ってくりゆんの?」

『…え、あ、引き摺っていたので、もしよければ運ぶの手伝います』

「ゆたさんのかいみ?にふぇーでーびる!ぐぶりーさびたんんやっさーしが、クヌたーち袋うにげぇね」

今までにないくらい頭をフル回転させてなんとか言葉の意味を理解しようとする水城。女性が二袋こちらに向けてきたので、あ、これは手伝わせてくれるんだな、と理解して受け取った。

「お礼とあびてぃやってばお茶やどうみ?」

『…いいんですか?』

「どーぞどーぞ!」

女性の家に着いた。家に上がらせてもらい台所まで袋を運ぶ。冷蔵庫の前に置きお暇(いとま)しようとすると引き止められる。急須を見せながら言われたので、今度はなんとなく分かった。