34話 ページ34
「どこにあるの?真・帝国学園は」
「俺の言うとおり走ってりゃ着くよ」
嫌味ったらしく腕を組みながら言う不動を鬼道は水城越しに一瞥する。見るのも嫌になってすぐに外に顔を向けた。脳裏に浮かぶのはかつての、いや、今も仲間である帝国学園の仲間たち。誰が、誰がまた影山の下に付いてしまったと言うのだ。
「お前はなんで呑気にみかん食ってるわけ?」
『えっ…。…ああ、不動君も食べたいのか。ごめんね気付けなくて』
「いやいらねえよ」
鬼道と不動。その間に座る水城は先程不動が現れたおかげで食べるのを中断してしまったみかんの残りを食べていた。塔子は避難として後ろの円堂と風丸の間に行ったのだが『今から影山さんのところへ行くのならさすがにここで暴力沙汰は起こさないよね』というのが水城の見解だ。あと鬼道と不動の間に物理的に何もないのが不安だったのもある。
「んだよこいつ…。あ、そこの門から入ってくれよ」
そう言って入っていったのは霧の立ち込める港。近くに船は泊まっておらず目の前には先の見えない海が広がるのみ。独特な潮の匂いがする。
「どこにも学校なんかないじゃないか」
「てめえ!!やっぱ俺たちを騙したのか!!」
「短気な奴だなあ。真・帝国学園だったら、」
不思議そうに言う円堂と怒鳴る染岡。それを軽く受け流す不動はどこまでも飄々としている。ほら、と底の見えない濁った海を指差した。
突如、海面から大量の水しぶきをあげて何かが飛び出した。その正体は巨大な潜水艦。先端から海中を出たその動きは鯨のブリーチングのようで、本来の向きになった潜水艦に
言葉を失う雷門イレブン。しばらくすると鉄特有の重い音を響かせながら潜水艦の中央にグラウンドが現れる。雷門イレブンの前にタラップが降りてきた。
「か、影山…」
「久しぶりだな円堂。それに鬼道!」
「影山ああ!!!」
その先には悠然と立ちこちらを見下ろす影山。簡単に姿を現したことに驚く円堂と憤慨する鬼道。「もう総帥とは呼んでくれんのか」と首を振る影山の表情は読めない。
「今度は何を企んでいるんだ!!」
「私の計画はお前たちには理解できん。この真・帝国学園の意味さえもな。私から逃げ出したりしなければ、お前には分かったはずだ!」
「俺は逃げたんじゃない!あんたと決別したんだ!!」
そう言って指差す鬼道に、影山は顎を上げ鼻で笑った。
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作者名:不二市 | 作成日時:2017年9月20日 9時