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知らないモノが飄風として襲い掛かるから ページ9

あれ以来、時々だが放浪者と名乗った少年がわたしに顔を見せに来る。何故か知らないが、雪山では何一つ寒そうにせずにわたしに話を持ちかけてくる。ファデュイの話、氷の神様の話、そしてわたしの話。これは外部から聞いた話で噂として扱われているようだ。

「ほぼほぼ毎日のように風神がこの雪山に向かう姿を見て、龍がもう一体いると思われた。まあ、それが正解だったんだ。噂も案外役立つ時があるよ、火の無い所に煙は立たないと言うだろう?」
「あっ、ちょっと!ボク抜きで話すのはやめて。前までボクと彼女だけの、静かな2人きりの大事な大事な時間だったんだ」
「……風神はこんな感じでは無かった筈だった、自由を愛する神がたった一人を縛り付けるなんて」

突然気配を現したウェンティがわたしの真横にくっ付いて、唐笠の少年に威嚇するような声色で話しかける。風貌と同じで子どもみたく、何千年も生きているくせしてみっともないと思いながら彼からお土産として貰った温かい湯気の立つ料理を見る。またタダで貰ったんじゃないかとひやひやしながら、そっとウェンティを不安気にな眼差しで見る。

「えっ、何で!ボクのお土産を素直に受け取れないの?もしかして、このお人形さんに言われたの?」
「……何で君はずっと僕を"お人形さん"と呼ぶんだい?いい加減にして欲しいと言った筈だけど?」
「一旦Aから離れて、次は金輪際彼女の視界の中に入らないと約束する。それを了解するなら、呼んで欲しい名前で呼ぶよ。ね、とても簡単でしょ?」
「……言うだけムダ、か」

放浪者の手が、わたしの手の中に納まっている料理へと向かった。そしてそのままぱくぱくと食べ始めた。ウェンティはわたしとは別方向から腕を伸ばして、その無断に料理を食べ始めた相手に文句を言う。だから、何でわたしを挟んでする必要があるのか。気が気じゃないから、やめて欲しい。

「君、やっぱり彼女に対して酷く過保護じゃないのかい?何百年もそういう付き合いをしてきたように見えるけども」
「当たり前でしょ、彼女が小さい頃からの友達だよ。君が存在するようになるまでの数え切れない幾年月を重ねたんだ、だから……」

一瞬だけウェンティの顔が曇った。どうしたのかと訊ねる前に、彼は言葉を継ぎ足した。

「とにかく、これ以上はダメ。もう2度と、苦しそうなことに巻き込ませたくないだけ」

その言葉と同時に一瞬頭と背中が痛んだ。それらの位置は、昔の龍としてのものがあった位置だった。

夕風と見る遠くの複数の灯火たち→←唐突に吹き込む隙間風に戸惑う



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作者名:さとうみさん | 作者ホームページ:http  
作成日時:2023年4月25日 22時

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