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どんな時もあなたには優しい風が吹いている ページ32

法器もオッケー、僅かなモラもオッケー、替えの服もオッケー、色々オッケー。
旅には色々な物が必要で、小さなカバンの中にはそれがぎゅうぎゅう詰まっている。

「女の子の荷物は結構多いって思ったけど、君はそんなことないね」

わたしは普通の女の子じゃないし、元を辿れば女の子という年齢でもない。見た目だけだ。それをウェンティに伝えると、彼はふふふと笑う。

「そんなことを言ったら、ボクもそうだよ。見た目しか幼くないから」

そう言えば、この人の方がわたしより年上っぽい。言動が無邪気な少年そのものだから忘れていた。

「それは置いといて、そろそろ行こう?ボクたち2人だけの華やかで楽しい旅路を、邪魔しそうな人たちが来る前にさ」

そう言えば、来客が来る前の早朝なので彼が急かす理由は分かる。わたしも彼との旅に出る日を待ち望んでいたから、今は彼以外の誰にも話しかけられたくないし邪魔だと感じてしまうだろう。

「君もそう想ってくれているの?ふふ、そうだよね。ボクたちは恋人どうしなんだから以心伝心だよね」

嬉しそうに笑みながら、わたしの手の甲に手を重ねてくる。それは温かくて優しくてわたしよりちょっと小さな手。大好きで、幼い頃から感じていた温もり。ずっと一緒だと言ってくれて、それが本当に情人としていることになった。
愛する人は生まれて初めてだから、どう接すれば良いのか分からない。だけど、彼はそのままで良いと教えてくれたからそのままで。その真ん中辺りに、ちょっぴり少しずつ愛を注ぐ動作を取れば良い。現にキスだけでも嬉しがっていたし、まあわたしは恥ずかしいところにもたくさんキスされたから深くは語れないけど。

「しばらく帰れないから、この場所にさよならをしなくて良い?」

もう未練はない、両親が遺してくれたものは既に無いから。強いて言うなら、自分の体の中に流れる血液程度だろう。ちょっと切ない気持ちになる。でもたくさん思い出はできたのは確か。
ウェンティといたことがほとんどで、それを思い出すと笑みがこぼれる。

「良い思い出だよね、触れ合ったり話したり……それって、すごく贅沢で至福の一時だよね。今だって、だよ?」

そっと手を握られる形になって、そのまま雪が珍しく止んでいる外に連れ出されて行く。

「さあ、行こう。ボクたちの旅路を空までもが祝福しているよ」

その言葉に頷きながら、光差す方へと歩いて行く。洞窟の外に出ると、心地よい優しい風が吹きつけてきた。

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作者名:さとうみさん | 作者ホームページ:http  
作成日時:2023年4月25日 22時

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