晨風が吹くまで傍にいて ページ29
わたしには、昔は角と羽がありました。
でも、角も羽も儲けることしか考えていない人間にもぎ取られました。
その後は、頭や背中にあった角や羽の欠片は次第に風化して消えて行きました。
もう見た目はただの人間と化して、両親の血をきちんと継いでいるのか分からなくなります。
でも、わたしの傍にずっといてくれたお友達の少年は相変わらず優しく接してくれました。
「なんで君から離れる必要があるの?ボクは君といたいから、ずっといるんだよ」
ふわふわの笑顔で、直視ができないくらいに眩しかったです。
次第に人間たちが世界を埋める割合が高くなり、お友達は神様みたいな風貌をやめて緑色の服を身に纏い始めました。
片手にはハープを抱え、お酒を飲みながらふらふらする少年に変わってました。
それでも、人の前に立っては詩を読んだり助言を渡したりと、人の為に頑張ってもいます。
「うん、いつか君にも胸を張れて頼れる存在になりたいからさ。できればボクに寄り縋って欲しいな、なんてっ」
わたしは過去で人間が怖くて、雪山に閉じこもってました。
時々表情がなかなか変わらない錬金術師とも会いましたが、彼はわたしの血を欲したので変な人でした。
ある日から会わなくなりましたが、1人で過ごすことは変わらないです。
今も昔も、その隣には毎日毎日お友達がいました。
その度に、新作の詩をいち早く聞かせてくれたり一緒にご飯を食べたり、色々一緒にしました。
「人間は怖がることはないよ、ボクと一緒にいたら襲われることはないから」
時々ですが一緒に外に出たこともあります、その時は知らない顔たちばかりで怖かった記憶はあります。
彼と共に知らない場所を歩くことはとてもとても楽しかったです。
今も昔も彼といることが楽しいですが、違うことはかけがえのないものになっていることです。
「ボクに色んな初めてを長い年月をかけてたくさんくれた人だよ、そんな言葉じゃ足りないくらいに素敵な存在なんだ」
ぼろぼろになって目が覚めた時に教えてくれたこと、実はわたしもそうなんです。
あなたが眩しくて輝いて見えて、とても羨ましくて憧れてもいたのです。
でも一方で、生まれて初めての感情でぐちゃぐちゃです。
初めて会った優しい人間さんたちとは違った感情で、たった一つと言っても過言ではないのです。
でも逢ったら、恥ずかしいどころの騒ぎではなくなって頭がおかしくなりそうです。
どうしてくれるのかな、責任くらいとってちょうだい?ウェンティ?
朝戸風のように君の馴染み深い存在になりたい→←家風と共に君を待ちたいんだ
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