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煙嵐にまかれたみたいで ページ27

今日はいつもの生活空間の洞窟にいたくなくて、雪山の麓まで来た。ああ、何でこんな所にいるんだろう。無意識に向かったと言っても差し支えは無いレベルでおかしい。

「どうした、ここまで歩いて来た様子だが」

気が付くと、目の前に旧友の仙人がいた。はっとして辺りを見渡すと、草木が生い茂っており人が住まう場所の近くまで来ていた。あれ、どうしてこんな所にいるの。
軽く混乱していると、目の前の魈は呆れたような表情でわたしを見ていた。

「ここだと人が何時来てもおかしくはない、場所を変えるぞ」

そういうことで、何故か手を差し出される。別の意味で困惑していると、彼は「先日は鍾璃様とお会いする際に遅れてしまっただろう、我の方が足が速い故に」と言葉を投げて来た。実際にそうで、ちょっと悲しかったけどもおずおすと手を伸ばして重ねてみる。何年も付き合っていたのに、初めて触れたような気がする。思わずその言葉を口にすると、手を重ねている相手は少し目を見開いて少し顔を反らした。

「……そうだな、行くぞ」

これ以上会話は続くことなく、彼に連れられて着いた先がいつも会う旅館ではなく知らない山だった。しかも険しい、これじゃ人がいないじゃなくて寄り付かないの間違いじゃないのか。でも魈に手を握ってもらえているおかげで、迷子にならずに険しい山道でも大丈夫だった。

「ここで良いだろう、理由を聞かせて貰うぞ」

急に開けた場所で止まって丁度良い石の上に腰かけ、わたしはその横に余儀なく座らされる。だって手を放してくれないからだけど、ここまで連れて来た人に対して文句を言うような行為になってしまうのでなかなか言えない。

「言えない理由か」

違う、わたしも分からない。

「確かに表情が呆けて虚ろ気味だったが、その状態で出歩くなど危険を承知か」

怒られた。心配してくれたのは嬉しいけども、自分でも意味が分からなくてドラゴンスパインから出ていた。無意識って怖いと締め括りつつ、青い空を見上げる。この空をウェンティも見ているのかな、一緒の空を一緒に眺めている。それだけでも、ちょっと胸がほかほかぽかぽかする。

「……何を想いながら笑んでいるのだ」

急に言葉をかけられ、びくっと体が跳ねる。
あれ、笑っていたの?恥ずかしいな。誰って言われたら、掴み所の無い飄々とした……あ、あれ、あれ。

「そうか……落ち着くまで暫し待とう」

握られている手が痛い程にぎゅっと握られて、ちょっと声を上げてしまった。

家風と共に君を待ちたいんだ→←気が付くと迫る追い風



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作者名:さとうみさん | 作者ホームページ:http  
作成日時:2023年4月25日 22時

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