【迷子】 ページ39
アヴドゥルさんと合流し、後で追うと言った花京院を残して、私達はアスワンを発った。
ジョースターさんがチャーターした帆船は、風を受けゆったりとナイル川を下っていく。燃えるような夕日が、船の上の私たちを照らした。
ジ「エジプトは古代から、ナイル川を境に陽の沈む方向に死者を葬ったらしい。だから、全て町はナイルの東側に集まっている…」
静かな船の上でジョースターさんはそう言った。
ジ「敵は西だろうが東だろうが、東西南北お構い無しに襲ってくるがな…」
ジョースターさんの呟く声が、ナイル川の流れる音に溶けるように聞こえた。顔を上げれば、金色の光が私達の顔を照らす。
ジ「西側にある建造物は全て墓か死者にまつわる建物だそうだ」
西側の岸に並んだ砂色の古い建物を見つめた。河岸には牛を連れて歩く男達の姿が見える。ジョースターさんの言うように、危険で時間も残されていない逼迫した旅ではあるが、今目に映るゆったりとした景色に不思議と心が安らいでいた。
誰も何も言わない。しかし、妙な気まずさもない。
夕陽の眩しさに目を細めながら、金から赤に変わっていく空をぼんやりと見つめていた。
私達はアスワンより下流にあるコム・オンボの町に来ていた。船から降りると外国人観光客を狙った商人たちが次々と私達を囲む。
「パピルスだよ!!正真正銘のパピルスはいかが!?」
「お嬢さんの白い肌に、このアクセサリーはいかが?魔除にもなるわよ!」
商人たちの圧に気圧されていると、ジョジョが私のそばに立った。さり気なく商人と私の間に入ってくれている。
『…ありがとう、ジョジョ』
承「気をつけな。はぐれるぜ」
「わかったわ」とジョジョに隠れるようにして歩いた。195cmという大きな体躯のおかげか、先ほどより随分と歩きやすい。
ジ「あれ?」
ようやくのことで騒がしい港から出た時、不意にジョースターさんが声を上げた。
ジ「ポルナレフがおらんぞ」
『え?』
慌てて周囲を見回すが、確かにポルナレフの姿はどこにも見えない。
『はぐれたみたいね…』
ア「まあ、港から出られれば何とかなるだろうが…」
アヴドゥルさんの顔が僅かに曇る。敵の本拠地で1人きりはまずい、と考えているのだろう。
ジ「A、お前さんのスタンドで探せるか?」
ジョースターさんの言葉に、私は小さく頷いた。
『…花京院ほどの精度は無理かと思いますが、一度やってみます』
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神奈(プロフ) - つまらない作品ですが、見て下さりありがとうございます!同じことを言いますが、更新頑張ってください( ^ω^ ) (2019年4月24日 22時) (レス) id: c414ab850f (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - 神奈さん» 神奈さんの素敵なコメントに最高に「ハイ!」ってやつだアアアア!!! 改めまして、励みになるコメントありがとうございました!神奈さんの作品も、また拝見させていただきますね!これからも楽しんで読んでいただけるよう努力してまいります!よろしくお願いします! (2019年4月24日 22時) (レス) id: 21e67a9066 (このIDを非表示/違反報告)
神奈(プロフ) - 今起こった事をありのままに話すぜ…私はついさっき1話を見たばっかだっただが、気付いたら【stronger】まで読んでいた…何を言ってるか分からねーと思うが、私にも分からなかった……まぁ、短く言って面白かったです!頑張ってください! (2019年4月24日 2時) (レス) id: c414ab850f (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - (名前)さん» (名前)さん、ありがとうございます!楽しんで頂けたようで幸いですヾ(●´∇`●)ノこれからも更新していきますので何卒よろしくお願いします! (2019年1月20日 22時) (レス) id: 193ad08974 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - 気づいたら1話からここまで読んでいた.......!続きが楽しみです! (2019年1月20日 5時) (レス) id: d9386c92f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りと | 作成日時:2018年11月2日 0時