【quit】 ページ32
『…?』
アスワンへ向かう道の途中、静かだった道が急にサイレンの音で騒がしくなった。後部座席から外を覗くと、道が赤いコーンで塞がれている。
ポ「…事故らしいぞ?」
ジ「バスとトラックだ…」
乾いた風の中に、微かな血の匂いが混ざっているのに少し顔を顰めた。
ポ「メチャメチャだぜ…」
『そうね…バスが横転してるし、人も外に投げ出されてる。これは…死人が出てそうだわ』
とはいえ、と塞がれた道と怪我を負っている2人に交互に視線を向けた。
(典明…アヴドゥルさん…)
ぐったりとしている2人の容態を思うと気が急いた。
ジ「わしらの方こそ早く医者のところへ行かねばならん。アスワンまで20〜30kmだ、急ごう」
ようやくアスワンの街にたどり着いた頃には、昼を過ぎていた。2人は無事に医者に任せることが出来、私達はアスワンで一度羽を休めることにした。
ポ「…アヴドゥルの傷は軽いが、花京院の目が心配だなァ」
ポルナレフの言葉に小さく頷いた。
ジ「医者は入院の必要あり、と言っていたぞ」
承「花京院とはどうやらこの町で別れるしかないようだな」
『…そうね』
医者の言っていた言葉を思い返しながら、私はそっと目を伏せた。典明ほどのスタンド使いが離脱してしまうことは、私達にとっては大きな損失になる。彼の『遠距離型』のスタンド能力に加え、彼の洞察力の鋭さには何度も助けられてきた。
それに、と静かに胸に手を当てる。
(なんだか…とても寂しい)
ジョジョの言葉に全員の顔が少し暗くなった。普段はよく喋るポルナレフも、言葉数が少ない。
ポ「…」
黙ってポルナレフがつけたタバコの匂いがふっと鼻を掠める。
(…でも、これはこれで…いい結果になるかも。)
エジプト上陸後に見た夢が頭をよぎった。あの夢が正夢にならないとも限らない。
ジ「アヴドゥルの首の傷は幸運にも急所を外れていたので、明日には退院できるらしいが…花京院は重傷だ。失明するかもしれん」
ポ「心配だぜ…」
承「残念だが…この旅…花京院はリタイアせざるをえないかもな…」
そうだな、と頷きはするもののやはり全員の表情はどこか暗かった。
ポ「おい。たくさんカフェがあるぞ、久しぶりの町だ…。なんか飲み物でも飲みながら話そう…」
ジ「いいな…どの店にする?」
ジョースターさんの言葉にポルナレフが咥えていたタバコをピッと指で弾いて、落とした。
ポ「俺のタバコはあの店を選んだぜ」
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神奈(プロフ) - つまらない作品ですが、見て下さりありがとうございます!同じことを言いますが、更新頑張ってください( ^ω^ ) (2019年4月24日 22時) (レス) id: c414ab850f (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - 神奈さん» 神奈さんの素敵なコメントに最高に「ハイ!」ってやつだアアアア!!! 改めまして、励みになるコメントありがとうございました!神奈さんの作品も、また拝見させていただきますね!これからも楽しんで読んでいただけるよう努力してまいります!よろしくお願いします! (2019年4月24日 22時) (レス) id: 21e67a9066 (このIDを非表示/違反報告)
神奈(プロフ) - 今起こった事をありのままに話すぜ…私はついさっき1話を見たばっかだっただが、気付いたら【stronger】まで読んでいた…何を言ってるか分からねーと思うが、私にも分からなかった……まぁ、短く言って面白かったです!頑張ってください! (2019年4月24日 2時) (レス) id: c414ab850f (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - (名前)さん» (名前)さん、ありがとうございます!楽しんで頂けたようで幸いですヾ(●´∇`●)ノこれからも更新していきますので何卒よろしくお願いします! (2019年1月20日 22時) (レス) id: 193ad08974 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - 気づいたら1話からここまで読んでいた.......!続きが楽しみです! (2019年1月20日 5時) (レス) id: d9386c92f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りと | 作成日時:2018年11月2日 0時