【困りもの】 ページ16
「持ってなきぁ連れてこれませんよ…」
そう言って、男の1人が尻ポケットから何かを取り出した。その音に気が付いたのか、イギーがポルナレフからこちらに視線を向ける。男の手には、茶色い箱があった。
『これは…コーヒーガム…?』
アヴドゥルさんに渡されたのは、何度か見た事のあるパッケージの箱だった。個人的には、あまり得意な味ではない。だが、イギーはどうやらそうではないようだ。
(じっと見てるわ…コーヒーガムのパッケージを…)
ア「なんてものすごく鼻の良いやつなんだ…!」
アヴドゥルさんがちょっと顔をしかめた後、箱から一枚のガムを取り出してイギーに向ける。イギーは嬉しそうな声で吠えた。
ア「イギーはコーヒー味のチューインガムが大好物でな。こいつには目がない」
『ガムが大好物って…ちょっとゼータクな犬ね…』
呆れ半分感心半分でそう呟やくと、財団の人がアッと声を上げた。
「アヴドゥルさん!!箱の方はヤツの見えないところへ隠して!!」
けたたましく吠えていたイギーがこちらに向かってくる。慌てて一歩足を引いた瞬間、彼が飛び上がった。
『!』
ア「あ」
イギーが飛びついたのは、アヴドゥルさんが差し出していたガムではなく、ガムの箱の方だった。
ア「し、しまったッ!箱の方をとられたッ!!」
アヴドゥルさんの悔しそうな声をよそに、イギーは箱に噛みついている。バリバリ、と包装が裂ける音がした後、クチャクチャという咀嚼音と安っぽいコーヒー風味の香りがした。
ジ「コーヒー味のチューインガムは大好きだけれど、決して心は許さないんじゃこいつは…」
ア「紙ぐらいとってから食え…!」
ゲェっと顔をしかめるアヴドゥルさんの隣で、私はぽかんとするしかなかった。
『この犬が…助っ人…』
花「こんなヤツが助っ人になれるわけない…」
(スタンドパワーが強大なことはよくわかったけど…本当に大丈夫なの、これ?)
ポ「チクショー!」
ぼさぼさにされた髪を戻しながらポルナレフが起き上がった。ポルナレフの背中についた砂を払ってやりながら、私はちょっと肩をすくめるしかなかった。
承「やれやれ…」
ジョジョも反応に困ってしまったのか、帽子を軽く下げて首を横に振っている。
(いくら強いスタンド使いとはいえ…)
私達を気にも留めず、クチャクチャとコーヒーガムを食べているイギーを見つめ、私はちょっとため息をついた。
(これじゃ先が思いやられるわね…)
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神奈(プロフ) - つまらない作品ですが、見て下さりありがとうございます!同じことを言いますが、更新頑張ってください( ^ω^ ) (2019年4月24日 22時) (レス) id: c414ab850f (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - 神奈さん» 神奈さんの素敵なコメントに最高に「ハイ!」ってやつだアアアア!!! 改めまして、励みになるコメントありがとうございました!神奈さんの作品も、また拝見させていただきますね!これからも楽しんで読んでいただけるよう努力してまいります!よろしくお願いします! (2019年4月24日 22時) (レス) id: 21e67a9066 (このIDを非表示/違反報告)
神奈(プロフ) - 今起こった事をありのままに話すぜ…私はついさっき1話を見たばっかだっただが、気付いたら【stronger】まで読んでいた…何を言ってるか分からねーと思うが、私にも分からなかった……まぁ、短く言って面白かったです!頑張ってください! (2019年4月24日 2時) (レス) id: c414ab850f (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - (名前)さん» (名前)さん、ありがとうございます!楽しんで頂けたようで幸いですヾ(●´∇`●)ノこれからも更新していきますので何卒よろしくお願いします! (2019年1月20日 22時) (レス) id: 193ad08974 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - 気づいたら1話からここまで読んでいた.......!続きが楽しみです! (2019年1月20日 5時) (レス) id: d9386c92f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りと | 作成日時:2018年11月2日 0時