お前なんか大嫌い【東方仗助】 リクエスト・ つあ。さん ページ48
私は東方仗助が大嫌いだ。
「Aさーん、一緒に帰ろうぜー！｣
いつもニコニコ笑って、犬みたいに付いてくるところが嫌いだ。
「嫌よ｣
「ええ？｣
「今日は早く帰らなきゃ行けないの｣
「それ、昨日も言ってたッスけど…｣
「忙しいの｣
鞄を掴んで、教室からさっさと外に出る。外はあいにくの雨、傘なんてない。それでも東方仗助に追いつかれるのが嫌だから、私は構わず外に出た。
「あら、Aさん。傘忘れたの？｣
「ちょっとぉ…｣
私はその子達のクスクス笑いを無視して、濡れるのも気にせずに歩き続ける。傘を捨てたのはあの子達だって、私は知ってる。
「おーい、Aさーん！！外、雨っすよー！！｣
私はこの東方仗助の空気の読めない所が嫌いだ。お前がベタベタするせいで、私は厄介なのに目をつけられてひどい目にあってるのに。
無視して学校を出て、ずっと歩き続ける。道行く人がみんな変な顔で私と東方仗助を見る。恥ずかしくて、惨めで、情けない。
気がつくと、人気のない住宅街まで来ていた。雨はすっかり土砂降りになっていて、声も響かない。私はそこでしばらく立ち止まった。大きく口を開け、息を吸う。そして、吐き出すように私は泣いた。悔しくて、悔しくて、憎くて。
「Aさん！？｣
大嫌いな声がした。
「な、なんで泣いてるんすか！！｣
優しい顔で、優しい声で近づいてくるお前なんか大嫌いだ。
「来るなよ、東方仗助！！｣
「！｣
「なんで私についてくるんだよ！！！｣
私の声は大声なのに、その声すら雨にかき消されていく。
「お前なんか大ッ嫌いだ！！！顔なんてみたくもない！！｣
顔はぐじゃぐじゃ、制服はぐしょ濡れ。そんな私を東方仗助はいつものニコニコ顔じゃなくて、真っ直ぐな目で見ている。バカにせず、ただまっすぐに。
「…それでもいいっすよ｣
東方仗助は泣いてる私に近づいてくる。
「あんたが俺を嫌いでも、俺はあんたが好きなんすよ｣
私は嫌いだ。こんなにかっこいいお前が大嫌いだ。
「意味わかんないよ……何がそんなに好きだって言うんだよ…｣
「全部｣
何のためらいもなく、そいつはそう言った。
「あんたの全部が好きだ｣
そいつは照れもせずそう言って、何の躊躇もなく私を抱きしめる。背中に回された手が暖かい。私の心臓は痛いほど高鳴ってる。
ああ、お前のことが好きな私が大嫌いだ。
最愛の人【花京院典明】→←Gypsy【ロバート・E・O・スピードワゴン】
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りと(プロフ) - 時雨さん» 時雨さん、コメントありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです(≧▽≦)あ、ばれてしまいましたか？実は、ジョジョをきっかけに洋楽沼にもどっぷりはまってしまいました（笑） (2022年2月2日 2時) (
レス) id: b238753ec9 (このIDを非表示/違反報告)
時雨(プロフ) - 突然のコメント失礼します！どのお話も素敵でついつい一気見しちゃいました…(o^^o)あと…作者様、もしかして洋楽お好きですか！？(*ﾟ▽ﾟ*) (2022年1月30日 16時) (レス) id: 71fef2bd30 (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - プンプンするさん» はじめまして、コメントありがとうございます(^^♪ そう言ってもらって嬉しいですm(_ _)m (2017年9月11日 1時) (レス) id: 193ad08974 (このIDを非表示/違反報告)
プンプンする - 最高です！ SPW可愛い…！ (2017年9月10日 20時) (レス) id: 5cff2a66ee (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - りんりん?^?ω?^?さん» りんりんさん、リクエストありがとうございます！承りました(*ﾟ▽ﾟ)ﾉこちらではお話がいっぱいなので、続編の方で書かせていただきます(^^)お手数ですが、続編の方をチェックしていただければ嬉しいです〜 (2016年10月31日 0時) (レス) id: 78fb09e763 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りと | 作成日時：2015年11月13日 0時
