じゃんけん【じゃんけん小僧】 リクエスト・Utopiaさん ページ32
「ジャンケン強いんでしょ？」
「え？｣
突然背後から聞こえてきた声に僕は振り返る。そこにはAちゃんがいた。クラスのマドンナで、僕の憧れの人だ。
「ジャンケンが強いって噂、聞いたんだけど…違った？｣
確かめるように、ゆっくりと彼女は言った。
「え、ああ…そうだけど…｣
「ねえ、それならジャンケンしてよ｣
結構自信あるんだ、と彼女はいたずらな笑顔を見せた。その笑顔にどきりと胸が高鳴る。
「いい、よ｣
「やった！それじゃいくよ！じゃーんけん…｣
「「ぽん！！」」
僕はグー、君はチョキを出した。僕の勝ちだ。
「あ！負けた…｣
君は残念そうに笑って、僕を見つめた。僕になんで声をかけてくれたのかはわからない。だけど、今僕は死んでしまいそうなほど緊張していて、天に昇りそうなほど幸せだ。憧れの人と一緒に話せていることがこんなにも嬉しいことだなんて知らなかった。
「ねえ、もう一回いいかな？次は負けない！｣
また君がグーを構える。
「うん、いいよ｣
「「じゃーんけーんぽん！！」」
また僕が勝つ。君は少し悔しそうにキュッと眉間にシワを寄せた。それから何度も何度もじゃんけんをして、全て僕が勝ってしまった。
「なんで勝てないのかな…？｣
彼女は不思議そうな顔でグー、チョキ、パーと何度も手を動かしている。その横顔もかわいいなと見つめていると、不意に彼女が顔をあげた。
「ねえ、明日もやろう！｣
やられっぱなしは嫌だもん、と彼女は笑った。その眩しい笑顔が今僕に向けられていると思うと、嬉しかった。クラスの男の子の中では僕がきっと一番彼女と話してるんだ。そう思った時、僕の胸が痛いくらいに高鳴った。
「本当に明日もやるの？｣
僕は君に問いかける。
「…嫌？｣
「そ、そんなことないよ！！｣
慌てて横に首をふると、Aちゃんは少しいたずらっぽく笑った。
「それじゃ、また明日ね！｣
僕に背中を向けて、君は赤いランドセルを背負ってふわりと教室を出ていった。そんな君の背中を見送りながら僕はにやけそうになる顔を必死で真顔に保っていた。今の僕はきっと誰よりも運がいい。そう思えるくらい僕の心は浮き足立っていた。
もし、明日も僕が勝ち続けたら、君は明後日も僕の所に来てくれるかもしれない。勝ち続ければ、その先もずっと。そう思った僕は、そっと願い事をした。
(ずっと君とじゃんけんできますように)
(そして、君と仲良くなれますように)
desire【DIO】 リクエスト・いちご牛乳さん→←恐怖する君が好き【エニグマの少年】 リクエスト・Utopiaさん ※病み注意
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 200人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りと(プロフ) - 時雨さん» 時雨さん、コメントありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです(≧▽≦)あ、ばれてしまいましたか？実は、ジョジョをきっかけに洋楽沼にもどっぷりはまってしまいました（笑） (2022年2月2日 2時) (
レス) id: b238753ec9 (このIDを非表示/違反報告)
時雨(プロフ) - 突然のコメント失礼します！どのお話も素敵でついつい一気見しちゃいました…(o^^o)あと…作者様、もしかして洋楽お好きですか！？(*ﾟ▽ﾟ*) (2022年1月30日 16時) (レス) id: 71fef2bd30 (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - プンプンするさん» はじめまして、コメントありがとうございます(^^♪ そう言ってもらって嬉しいですm(_ _)m (2017年9月11日 1時) (レス) id: 193ad08974 (このIDを非表示/違反報告)
プンプンする - 最高です！ SPW可愛い…！ (2017年9月10日 20時) (レス) id: 5cff2a66ee (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - りんりん?^?ω?^?さん» りんりんさん、リクエストありがとうございます！承りました(*ﾟ▽ﾟ)ﾉこちらではお話がいっぱいなので、続編の方で書かせていただきます(^^)お手数ですが、続編の方をチェックしていただければ嬉しいです〜 (2016年10月31日 0時) (レス) id: 78fb09e763 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：りと | 作成日時：2015年11月13日 0時
