clarity【空条承太郎】 ページ18
きっとこのままじゃダメなんだ。
「承太郎、聞いて｣
彼が私を見る目に決意が揺らぎかける。私を映した鮮やかな緑の目が悲しげに揺れた。胸がきしむ。思い出してはいけない、それなのに、彼との本当に楽しかった毎日や、愛し合った日々の事を思い出してしまった。
バレンタインデーに甘いチョコは嫌いだと思ってとても苦いチョコをあげてしまったこと。彼に告白された時のこと。初めてのデートは水族館だったこと。それが楽しかったこと。海にでかけたこと。初めて2人で夜を共に超えた日のこと。プロポーズされたこと。そして…徐倫が産まれてきてくれたこと。
彼との思い出が容赦なく私を苦しめた。
(本当に…このままじゃダメなの…？)
伝えるのを、心が嫌がる。頭では徐倫のためにも、私のためにもなることはわかっていた。ちゃんと昨日、覚悟も決めた。
だけど、いざ伝えるとなると本当に辛い。
「…A｣
トントンと自分の隣を叩く貴方。その貴方の目にも私とよく似た感情が浮かんでいる。お互いに見えていたものが、最後は同じだったらしい。
「俺からも話が…｣
「…うん｣
昔に戻りたい。貴方に縋りついて、愛してると泣き喚きたい。
でも、そんなことしたって解決しない。
「分かってる、のよね？｣
「よくわかってる、だから言わなきゃならん｣
初めて出会った時から好きだった貴方の海のような瞳が、私をとらえて離さない。
「愛してる｣
はっきりと承太郎はそう言った。その海の色の目に溺れそうになるのを、必死で堪える。
「気づいてはいた…君が、俺に愛想を尽かしてるってことは。だが…｣
言葉を選ぶようにゆっくりと承太郎は口を開いた。
「もし、君が俺にとっての運命の人じゃあなかったなら、俺はこんなに安らかな気持ちにはきっとなれなかった。君だけなんだ、俺の居場所は｣
私もそうだった。貴方だけが私の居場所だった。
だけど、気が付いている。このまま貴方を許したとしても、貴方とはまた同じように争うことになる。そして、いつかは必ず終わりが来る。
「どうして貴方が運命の人なのでしょうね？｣
気がつくと涙が零れていた。承太郎は私を形作る大切な一部だった。
だけど、それだけじゃ上手くは行かない。もう、若い時の気持ちだけではごまかせない。そう分かっていても、あまりに辛く苦しかった。
「貴方がどうでもいい人なら良かったのに…｣
as long as you love me【シーザー・A・ ツェペリ】→←恋は盲目【空条承太郎】※病み太郎 リクエスト･ミリイさん
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 200人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りと(プロフ) - 時雨さん» 時雨さん、コメントありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです(≧▽≦)あ、ばれてしまいましたか？実は、ジョジョをきっかけに洋楽沼にもどっぷりはまってしまいました（笑） (2022年2月2日 2時) (
レス) id: b238753ec9 (このIDを非表示/違反報告)
時雨(プロフ) - 突然のコメント失礼します！どのお話も素敵でついつい一気見しちゃいました…(o^^o)あと…作者様、もしかして洋楽お好きですか！？(*ﾟ▽ﾟ*) (2022年1月30日 16時) (レス) id: 71fef2bd30 (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - プンプンするさん» はじめまして、コメントありがとうございます(^^♪ そう言ってもらって嬉しいですm(_ _)m (2017年9月11日 1時) (レス) id: 193ad08974 (このIDを非表示/違反報告)
プンプンする - 最高です！ SPW可愛い…！ (2017年9月10日 20時) (レス) id: 5cff2a66ee (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - りんりん?^?ω?^?さん» りんりんさん、リクエストありがとうございます！承りました(*ﾟ▽ﾟ)ﾉこちらではお話がいっぱいなので、続編の方で書かせていただきます(^^)お手数ですが、続編の方をチェックしていただければ嬉しいです〜 (2016年10月31日 0時) (レス) id: 78fb09e763 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：りと | 作成日時：2015年11月13日 0時
