Judas【ホル・ホース】 ページ11
きっと何もかもが嘘。
「愛してるぜ、A」
そう言って笑う彼は私をそっと抱き寄せた。私は何も言わずに、彼の胸板を押した。あっさりと私を話した彼が、困惑したように眉をひそめる。
「なんだ？今日はいつもに増して不機嫌じゃあねぇか。何かあったのか？」
「…何もありはしないわ」
知ってるのよ、私。貴方がその言葉を他の女にも言ってたこと。貴方がその女としてたこと。貴方が私のことを本当は愛してなんていないこと。
「ホル・ホース、貴方は本当に私のことを愛してるの？」
「どうしたんだ、A？急にそんなこと言い出して…」
「答えて」
「…ああ、愛してるぜ？」
そのわずかな間を見逃す馬鹿な女なら良かった。その間の意味が分からない女なら良かった。そう思いながら、私はぎこちなく微笑んだ。
「なら、いいの」
貴方の嘘にまみれた言葉と、欲にまみれた行動を愛してあげる。他の女のようにすがりついて、不毛な恋に堕ちて、泣きながら貴方との別れを惜しむ、都合の良い女でいてあげる。
「ねえ、私を一番愛してね」
貴方が私を利用する理由なんてわかってる。私という女を利用して、貴方を恨む人や正そうとする人から逃げ回ってるんでしょう？
でも、そんな彼の行いを私は許してしまっている。良心の呵責は、ずっと昔に安定した幸せを願う心と一緒に捨ててしまった。だから、これで構わない。
「ああ、もちろんだぜ」
私はどうしようもない女だ。私のことを騙して、利用しているこの裏切者を愛してしまった。
「ホル・ホース」
彼の体にしなだれかかる。
「またここに来てくれるわよね？」
そういって甘えるように上目遣いで彼を見る。
「ああ、約束する」
「まあ、嬉しい…」
きっとこんな人間を愛するべきではない。人殺しで、詐欺師で、女たらし…こんな人を愛していいわけが無い。
「さあ、もう行って」
「おう…ありがとうな、A」
そういって口づけようとする彼を止める。
「それはまた次に会った時に。たまにはこういうのもいいでしょ？」
そう笑って彼を見送る。
「さよなら、どうかご無事で」
「ああ、さよなら。愛してるぜ…本当に心から」
彼の目に一瞬だけ悲しげな光が映った。でも、きっとその瞳ですら演技なのでしょうね。私のことなど、きっと次の女と会うころには忘れている。でも、それでもいい。
たとえ裏切られていたとしても、私は彼を愛していたい。
treasure【ジョセフ・ジョースター】→←gone gone gone【ジョナサン・ジョースター】
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りと(プロフ) - 時雨さん» 時雨さん、コメントありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです(≧▽≦)あ、ばれてしまいましたか？実は、ジョジョをきっかけに洋楽沼にもどっぷりはまってしまいました（笑） (2022年2月2日 2時) (
レス) id: b238753ec9 (このIDを非表示/違反報告)
時雨(プロフ) - 突然のコメント失礼します！どのお話も素敵でついつい一気見しちゃいました…(o^^o)あと…作者様、もしかして洋楽お好きですか！？(*ﾟ▽ﾟ*) (2022年1月30日 16時) (レス) id: 71fef2bd30 (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - プンプンするさん» はじめまして、コメントありがとうございます(^^♪ そう言ってもらって嬉しいですm(_ _)m (2017年9月11日 1時) (レス) id: 193ad08974 (このIDを非表示/違反報告)
プンプンする - 最高です！ SPW可愛い…！ (2017年9月10日 20時) (レス) id: 5cff2a66ee (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - りんりん?^?ω?^?さん» りんりんさん、リクエストありがとうございます！承りました(*ﾟ▽ﾟ)ﾉこちらではお話がいっぱいなので、続編の方で書かせていただきます(^^)お手数ですが、続編の方をチェックしていただければ嬉しいです〜 (2016年10月31日 0時) (レス) id: 78fb09e763 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りと | 作成日時：2015年11月13日 0時
