the other side【花京院典明】 ページ1
いつの間にか、僕らの距離は縮まっていた。
「花京院くん」
最初、君はそう僕を呼んでいた。旅を続け、過ごす時間を重ねるごとに、僕らの心は近づいていく。
「典明」
初めは仏頂面で苗字でしか呼ばなかった君が、笑顔で僕の名を呼ぶくらいに。
「あ、これ典明のスプーンだった…？ごめん！」
使っていた食器が僕のものでも気にしてないくらいに。
僕が君に対してもう『友達』に抱く情を超えた感情を抱くくらいに。
そして、どこかで「起きればいいいのに」と思っていたタイミングが僕に回ってきた。
「A」
君がこちらを向いてわずかに首を傾げた。深い色の澄んだ瞳には、少し緊張した面持ちの僕が映っている。
「次のホテル、部屋がツインしかないっていう話は…？」
「ええ、一応」
困った顔をする彼女に、僕は努めて自然に微笑みかけた。
「なら、僕と同室はどう？君さえよければ、の話だが…」
「私は構わないけど…貴方こそいいの？ポルナレフやジョジョじゃあなくて」
「いいんだ。彼らはタバコを吸うけれど、僕はどうもあの臭いは苦手だから」
そう言うと、君は「ならいいの」と微笑んだ。そのまま僕に背を向ける君の耳は、赤い。
スタンド使いの襲撃もなく、珍しく穏やかな一日だった。そんなことを思いながら部屋に戻る。
「ただいま」
「おかえりなさい。どうだった？」
そう言って微笑んだ君があんまりにも綺麗で、僕は一瞬言葉を失った。この人が僕のことを好きでいてくれたならどれだけ幸福なことだろう、と思いながら。
「…A、聞いてほしいことがあるんだ」
「…？どうかした？」
君に部屋の話を持ち掛けた時から、僕の覚悟はもう決まっていた。
「僕は、君の事を『ただの友達』とは、もう思えない」
たとえ、この想いが僕の一方的なものであったとしても伝えておきたかった。いつ死んでしまうかなんてわからない旅だから。
「君の事を困らせてしまうかもしれない、とはわかってる。でも、伝えたいんだ」
そう言って息を吐く。胸が、痛い。
「好きなんだ、君が。本当に、心から」
そう言った僕の声は、いつもより上ずっている。もっとかっこよく言うつもりだったのに、と内心毒づく。僅かな沈黙すら居たたまれなくなって、僕は顔を伏せた。
(ああ、だめだったかな)
謝罪と部屋を変える旨をつげようと、口を開きかけた時だった。
「…いいよ」
「あなたとなら、友達よりも先の関係に進みたい」
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りと(プロフ) - 時雨さん» 時雨さん、コメントありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです(≧▽≦)あ、ばれてしまいましたか？実は、ジョジョをきっかけに洋楽沼にもどっぷりはまってしまいました（笑） (2022年2月2日 2時) (
レス) id: b238753ec9 (このIDを非表示/違反報告)
時雨(プロフ) - 突然のコメント失礼します！どのお話も素敵でついつい一気見しちゃいました…(o^^o)あと…作者様、もしかして洋楽お好きですか！？(*ﾟ▽ﾟ*) (2022年1月30日 16時) (レス) id: 71fef2bd30 (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - プンプンするさん» はじめまして、コメントありがとうございます(^^♪ そう言ってもらって嬉しいですm(_ _)m (2017年9月11日 1時) (レス) id: 193ad08974 (このIDを非表示/違反報告)
プンプンする - 最高です！ SPW可愛い…！ (2017年9月10日 20時) (レス) id: 5cff2a66ee (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - りんりん?^?ω?^?さん» りんりんさん、リクエストありがとうございます！承りました(*ﾟ▽ﾟ)ﾉこちらではお話がいっぱいなので、続編の方で書かせていただきます(^^)お手数ですが、続編の方をチェックしていただければ嬉しいです〜 (2016年10月31日 0時) (レス) id: 78fb09e763 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りと | 作成日時：2015年11月13日 0時
