【文スト】ジ殺愛好家の弟は。２【太宰治】

４９話【過去編】 ページ15

　
井伏は僕の反対側で指揮を行っていた。
　
…なんとも、馬鹿で煩く、人懐っこい奴だ
　
　
　
表情がすぐ変わる。
　
感情が出やすい。

お喋りだ。
　
　

　
黒社会で最初に死んでいくタイプ
　
　
　
　
　

　

　
「おーい、太宰！」
　

　

名前を呼ばれた。彼奴に
　

不快だった。あんな奴と同レベルでしか居られない事が。
　
　

　

　

『報告書作成はやるから提出宜しく。
広津さん、帰ろうか』
　


「は。
お車は御用意させて頂いて居ります」
　

『ん』
　
　

話が分かる。
　
僕は広津さんは好きだ。頼れる側の人間。
　
口も堅いし、視野が広くて助かる
　
　
　
・・・他の奴が駄目駄目なだけだが
　
　
　
　

　
　
　


ー本部ー

　
資料作成を終え、黒服にそれを渡し
執務室で睡魔と戦いながら次の作戦を打ち込んでいく。


　

『不愉快だ。さっさと死なないかな、彼奴
　
そもそも僕は君に名前を呼ぶことを許可した覚えは無いんだけど？は？ウッザ』
　
　

ぶつぶつ文句を云っていると、扉が開いて
夕日色の髪を靡かせながら少年が入って来た
　
　

「おいおい、溜まッてンなァ・・・何やッてンだよ手前らしくもねェ」
　

『中也・・・今物凄く気分が悪いのだけど君にぶつけていい？』
　

「なンで俺にぶつけンだよ。
　
・・・まァ、聞いてやらなくもねェけど」
　
　
　
『井伏がマジうざい。名前呼ばれた』
　

「それだけかよ！
それなら俺も呼んンでるじゃねーか」
　

　
『中也は何？まァだ治と関係があったからいいじゃん
区別つけなきゃで僕を名前呼びだろ？
　
でも彼奴は違う
治が組織から消えた今。もう区別をつける理由はない筈だ』
　
　

「まァそうだな」
　

『だから彼奴は自己満足の為に呼んで居るという事になる
僕はそれがとてつもなく嫌いだ。ああもう大嫌いだ』
　
　
「ほー？」

　
『中也の重力で潰してくれない？』
　

「いやそれは俺の首が飛ぶわ」
　
『ちぇ』
　


「まァ本人の了承なしに呼ぶのは駄目だわな。
俺は早めに許可出すタイプだぜ」
　

『君の事は聴いてない』

　
「あ”ぁ？！」
　
『まァでも。
僕は彼奴の昇格は期待していないし、彼奴が幹部になれば僕は切腹する。
そのへんは森さんも判ってるだろうね』

　
「そこまでかよ」
　

『まァね』
　



　
もうそういう作戦は立て終わったし。
　
あとは実行だね

過去編登場人物→←４８話【過去編】

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す