【文スト】ジ殺愛好家の弟は。２【太宰治】

４５話【過去編】 ページ11

ーAsideー
　
　

双子の兄が、目前より消えた。
　
　
「裏社会」「ポートマフィア」「幹部」「準幹部」という環境であれば
いくら唯一の血縁者と雖も会う機会は決して多くはなかった。
　

　
だけどお互い「寂しい」なんて言わなかった
　
　
僕も兄も、そう思わなかったから
　
　
　
兄には友人と呼べるような人物が居たし、それは僕も例外ではなかった。
　
唯、僕の場合は「ユウジン」という名の関係性であって
決して熱い友情を僕が感じているわけではない。
　
そんなものは僕には無い
　
相手が勝手に感じているだけだ。
　

　
　

　
だけど、兄の前からはそれが姿を消した。
　
　
１人は裏切り、１人は死んだらしい
　
　
　
　
死んだ方は僕も親しくしていた。
　
裏切った方も、一応情報収集には役立てていた
　
　
　
　

それが、姿を消した。悉く、灰が風でさらさらと舞い散るように。
　
　

　
　

　
「太宰準幹部、首領がお呼びです」

『あぁ』

　
　

兄や兄の友人兼僕の知人等合計３名が姿を消した日の翌日。
　

僕は首領である森さんに招集された
　
招集の報せをしに来た黒服に短く返事をして横を通り過ぎる
　


　
　
　

　
場所は会議室。
　
　
ノックすると、入るよう返事がして見張り番の黒服２名が扉を開けた
　

…何時も通りだ
　
　
　
　
　
　
中は、中心に森さん、横に五大幹部が１人の尾崎さんが座っていた。
　
　
　
その前に中也と僕の形だけの友人であり
同じ準幹部の井伏 鱒二(イブセ マスジ)が並んで立っていた

　
　

　
「やあAくん。
君は大丈夫かい？私は今でも涙が出そうだよ…」

　

『その涙は中也や尾崎幹部あたりが御拭い致しますが故
僕には振らないで頂きたいのですが』
　
　
「あぁ、すまないね
君はこの手の話が苦手だった」
　
　

・・・僕の情報を教えて如何する積りなんだろうか。
　
まあ、何かあれば遠慮なく殺ればいい

　
　
　

　
『ご用件は何でしょうか
見たところ、僕達準幹部を集めて新たな人員を交えた
五大幹部の完全なる顕現でも御目当てで御座いましょうか』
　
　

「あはは、君達兄弟は本当に頭がいいね
お蔭で話が早く進むよ」
　

『いえ別に』
　
　
　

　
　
　

　
　

　

「中也くん、井伏くん、Aくん。

今日君達を招集したのは他でもない。先程Aくんが云った通りなのだけど
君達３人から新しい幹部を２名選出したい」

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