【文スト】ジ殺愛好家の弟は。２【太宰治】

７０話 ページ38

ーNo sideー

　
路地裏へと走るドストエフスキー。
　

素早く着替え、最後に帽子を被ろうと中を覗くが
目当てのモノはない

　
　
「…？帽子は・・・」

　

「探し物はこれかい」
　
　
　
背中から知っている声がした
　

振り返った先には自分の帽子をかぶって手を振る太宰治
　
　

「‥‥貴方ですか」
　
　
「仮面の男すら囮にした二重の暗殺。
君ならその位はするだろうと思ったよ
　
だから逃亡経路を読み待ち伏せさせてもらった。似合う？」
　

「全く」
　
　
　
「なら返すよ」
　
　

「“魔人”ドストエフスキー
君らしい遣り口だ。哀れな神父殿の頭を弄って暗殺者に仕立て上げ
に組織の長を襲わせるとは…
　
　
だけど片方は失敗。
まさかAに手を出すとは少し驚いたよ」
　
　
「それで、ご用件は？」



　
　
「社長とAに盛った毒の正体を教えて貰おうか」

　
「・・・」
　

「君の目的は判っている
　
『本』を得る為には横浜の異能者を根絶やしにする必要がある
けど君達《鼠》には組合のように街ごと焼き払う兵力がない。
　

だから暗殺で探偵社とマフィアの頭を落とそうとした」
　

「何故そう思うのです？」

　

「私やAならそうするからさ」

　


「・・・似た者同士という訳ですか。
ぼくが盛った毒は『共喰い』の異能です」
　

「！」
　
　

「二組織を潰すのは私ではありません。
　
“貴方がたです”」

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