飴玉が4つ ページ6
血だらけだしベタベタで痣だらけ、嘲られ。
でも「生」を引き延ばすためにはまた苦い飴を何個も何個も食べなくてはならなくて。
それだけで辛さも倍増するというものだ。
誰が好き好んで不味いものを大量摂取すると言うのか。いたら怖い。というか凄い。
そこまで己の感情を制限してしまったら最早動くこともままならないだろうに。
それにしても、痛すぎて少しでも気を抜いたら意識飛びそう…。飛ばしたら頭打って死ぬから意地でも起きてるけどさ。ここまでやる必要性が分かんないね。躾なら躾なりに動ける程度に収めるべきでしょうに。
此処で死んだら笑いものもいいとこだからね。
それに碧の事も守れない。
熱い湯がじくじくと傷口に滲みる。
ああ痛い痛い痛い。
ぽろりと零れた涙は排水口に一緒くたになって流されるから気付かれないし、小さな小さな泣き声は水音に掻き消される。
弟に、気取られてはいけないから。
お兄ちゃんで、居なきゃいけないから。
どれだけ辛くても、生きていなきゃいけないから。
「…」
己の体に油性マーカーで描かれた落書きを皮膚が赤くなるまで擦って消そうとする。こんなのいや。躾の一環らしいこの汚らしい落書きはなかなかどうして消えにくい。もっともっとはやく、綺麗にならないのだろうか。
分かりやすく限界を訴える己の心。なんて可哀想なんだろう。…でも弟の方がもっと可哀想だから。俺なんてまだまだだから。
まだまだなんだから、だから、だからまだ生きよう。
まだ頑張れるから。だからどうか何時か。
おれを、ころしてくれるひとにであえますように。おれを、あいして、いつくしんで、それでいてていねいにころしてくれるひとに。であえますように。
いつか、こんな飴の弾丸で心を嬲るのではなく、俺の心臓を、眉間を、腹部を、ああ、もう全身を。熱くて痛い実弾で貫かれるその日まで。
その日までは、まだ頑張れるから。
まだ生きて。
まだ生きて弟を信頼出来る人に預けて、それから…それから……汚れきった俺はやっと死ねる。
俺にこびりついた汚れはもう落ちない。ならばあの世に持ち越してそれから地獄の炎で己の身ごと妬いてやろう。
倖せに俺はもう必要無いから。
はやく終焉を迎えたい。
迎えたとて、己が救われるという保証は1つとして無いけれども。でも、それでも泥のような安寧を、完全なる死を求めてしまう俺はもしかしたら救いようのないど阿呆なんだろうか。
いや、そうだよな。考えるまでもない。
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椿@低浮上(プロフ) - marshmallowさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!頑張ります…!コメントありがとうございました!お返事遅くなって申し訳ない… (2021年5月5日 3時) (レス) id: e4b31c2906 (このIDを非表示/違反報告)
marshmallow - めっちゃ面白かったです!!出来れば、別視点からの一樹君も見てみたいです!更新頑張ってください! (2021年4月28日 21時) (レス) id: bf7086b5e5 (このIDを非表示/違反報告)
椿@低浮上(プロフ) - 晴幸@社会不適合者さん» わわわ、ありがとうございます!励みになります! (2021年3月28日 17時) (レス) id: e4b31c2906 (このIDを非表示/違反報告)
晴幸@社会不適合者(プロフ) - 何時読んでも最高過ぎるのだけれど、有り難う、良い作品を生み出してくれて。 (2021年3月25日 10時) (レス) id: d3defbd144 (このIDを非表示/違反報告)
椿(プロフ) - 櫻蠅さん» わわわ、早とちりで失礼なことを長々と…すみません…!!はい、また語りましょうね! (2020年2月29日 1時) (レス) id: 8c21d37533 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:椿 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/3d9bdea2451/
作成日時:2019年11月22日 23時