浦島坂田船の紫さんは幼馴染と怪盗やってます

〜第2章　Part3！　美術館に潜入！1〜 ページ21

今日は日曜日。

私たちは、そろって美術館にやってきた。もちろん依頼のためにね。

水曜〜土曜までずっとその美術館がどこか調べてたんだよね。

志麻もそうだと思うけど、樋口さんにききたいことはちゃんと質問したしね。

志麻「この美術館すごく混んでるな」

志麻が周りの人混みを見て、驚いたようにいった。

美術館のカフェも、オープンテラスまで満席になる混雑ぶり。

真っ白な壁に立派な額縁に入った絵画がならんでいる。

その下のパネルには、絵画のタイトルと画家名、説明文が書かれていた。

絵は間隔をあけて展示されていて、人の流れにそって順番に見ていく感じなんだけど、

人が多くて、正面から眺めるには時間がかかる。

A『混んでいるのは、メインの企画展の初日だから、そのせいもあるかも』

志麻「今回の企画展のテーマってなんやっけ？」

A『今回の企画展は、日本でも有名な画家のルーベンスがテーマだから、
　 人気があるの』

志麻「ほんまや。ここに書いてある。」

志麻は受付でもらったパンフレットを見てる。

志麻「ルーベンスってたしか、パトラッシュっていう犬の出てくる話に出てきたよな？」

A『――【フランダースの犬】のことだね。イギリス人の作家ウィーダが、ベルギーを
　 舞台にして書いた作品。主人公の少年ネロが憧れる画家として登場してるね』

志麻「でも、名前以外ほとんど知らんな」

A『ルーベンスは、16世紀末からはじまったバロック絵画を代表する画家の1人。
　 当時から人気のある画家だったらしい。外国からも絵を依頼されて、
　 全部描ききれなくなって、‛‛黄金の工房''をつくったぐらいだからね』

志麻「黄金の工房って？」

A『ルーベンスの工房でね、自分がデッサンした絵の続きを弟子に描かせて、
　 最後の仕上げをまたルーベンスがして完成させる、なんてこともしたんだって』

志麻「え、ええ〜っ！絵を頼んだ人は、それで納得したの？」

A『ルーベンスのは署名入りだし、当時としては満足してたんじゃない。そうでもない
　 と、ルーベンスの工房でつくられた絵画は1200枚とも言われてるから」

志麻「1200枚！？」

A『いまでは分析技術の進歩で、ルーベンス自身の絵か、それとも弟子が描いたのか
　 判別できてしまうけど』

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