第七十九章 ページ6
夢side
一「…………夢ちゃん。」
その言葉に、思わず目を見開いた。
ふいっ、と顔をそらすと、追い打ちをかけるように男の人は「夢ちゃんなんでしょ。」と言ってきた。
その言葉の裏には何かしらの確信があるらしく、淀みがない。
私はすうっ、と息を吸ってから、一つ結びを外した。
夢「……何で分かったの？」
一「逆に何で分からないの？」
夢「だって、私と咲希そっくりじゃん！」
今まで似てるって言われ続けられてきた。
区別をつけてくれる子は少なくて、どちらもうんざりしてたから髪型を変えたのに。
この人は、一瞬で私たちを見分けた。
その衝撃は大きかった。
すると、男の人ははぁ、と息を吐いて。
一「……咲希ちゃんは、Aを呼ぶときA姉さんとは呼ばなかった。
姉さんだけだったし。
それに、声を少し作ってる気がしたから……。」
盲点だった。
完璧に咲希に成りきれたと思っていたのに。
夢「……っ、じゃあそこを直したら、私は咲希に見えた？」
一「いや。」
ばっさり。
夢「でも今さっきここがこうだったから、って言ったじゃない！」
一「あれは……、敢えてあげるならっていう具体例。
そうじゃなくても、俺は分かる。」
夢「なんで！」
前のめりになりつつ男の人に聞くと、彼はくしゃりと前髪を掻いてから、
一「…………俺さ、六つ子なんだよ。」
ぽつり、と一言。
一「六つ子となるとさ……。
やっぱり皆同じに見られるし……。
見分けるのも双子より大変だろうな、とは思うけど。
…………やっぱり中身は違うわけだし、注意深く見さえすれば、違うものは違うんだから見分けて貰えないと嫌だったし。
だから、……俺は他の人もちゃんと見分けるようにしてんの。」
見分けて欲しい。
同じことを思っていたのは、私だけじゃなかった。
見分けて貰うことを諦めていた私は、ぎゅっと手の内のシャーペンを握りしめた。
夢「……お兄さん、名前なんて言うの？」
一「…………俺？
松野 一松ですけど。」
夢「一松お兄ちゃん、って呼んでいい？」
微笑んでこう言うと、お兄ちゃんも不器用に笑顔を作って、
一「……いいよ、夢。
んで、何処が分かんないの……？」
夢「えっとー……。」
私は一松お兄ちゃんの隣に座って、参考書を広げ始めた。
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黒兎(プロフ) - こむむんさん» いえいえ、こちらこそイケメンなトプ画を書いてくださってホントに感謝してます。完結は完結なんですけど、番外編書いてるので併せて呼んでくださったらうれしいです。 (2017年3月13日 16時) (
レス) id: 2172f3f018 (このIDを非表示/違反報告)
黒兎(プロフ) - 絵馬さん» ありがとうございます！楽しく読んでいただけたら本望です〜 (2017年3月13日 16時) (レス) id: 2172f3f018 (このIDを非表示/違反報告)
こむむん(プロフ) - めっちゃ面白かったです！もう完結だなんて、私吐血しちゃいそうです← 完結おめでとうございます！！ (2017年3月13日 13時) (レス) id: 3400672e6f (このIDを非表示/違反報告)
絵馬(プロフ) - 完結おめでとうございます！とても楽しく読ませていただきました。 (2017年3月13日 13時) (レス) id: e450e79069 (このIDを非表示/違反報告)
黒兎(プロフ) - クリームにゃんさん» 期待してて！ﾄﾞﾔｧ← (2017年3月7日 21時) (レス) id: 2172f3f018 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼 x他1人 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/satisfy15/
作成日時：2017年3月3日 22時
