第七十七章 ページ4
部屋に着いた瞬間、ドアをぴしゃんと閉められた。
上着を脱ぐなり、ドアが開かないようにか荷物を置き始めるいっくんに、少し嫌な汗が垂れる。
『あの……、いっくん、そんなにうちの扉ぼろくないよ？』
一「知ってる。
……人が入ってこないようにに決まってるでしょ。」
紫のネクタイを乱暴に外しながら、にたっ、と笑みを浮かべて舌なめずり。
……やっぱりですか。
『いっくん……、流石に実家ではやめて。』
一「何で。」
『ホントの黒歴史ができる気がするから。』
一「いいじゃん。」
けろりと言う。
『よくないよ！』と返すと、物凄く怪訝な顔をされた。
一「……堪ってるのに。」
『言う場所がおかしいんだもん。』
一「そうじゃなくてもやらせてくれないくせに。」
ふいっ、と視線を外される。
罠だとは分かってるけど、いっくんの後ろ姿は追いかけたくなっちゃうタチでして……。
ぎゅうっ、と後ろからいっくんに抱き着いて、
『分かったよ……。
私の家で、だったら考えてあげるから。』
一「…………言ったね？」
ほら、やっぱり嵌めてきた。
でも、そんな貴方も好き、なんて考えてしまう。
抱きしめる力を強めると、
一「……耐えようとしてるのに、生殺しにしようとかやめてくれない？」
『え。』
一「胸、……当たってるから。
誘ってるんなら手ぇ出すけど、そういうわけじゃないんならやめて。」
ちら、と彼の顔を覗き込むと、口を片手で覆っている。
『……ごめん。』
一「……そのかわり。」
くるりと行き成りいっくんが振り向いて、正面から私を抱きしめた。
ワイシャツの隙間から見えた、綺麗な鎖骨のラインにどきりとした。
一「俺が、……俺が抱きしめてあげるから。
それでいいでしょ……。」
息遣いが耳にかかる。
『ちょ、耳元で話すのやめて……。』
一「言われたらやりたくなるって分からない？
まぁいいや、今日はこれくらいで我慢しといてやるよ……。」
私の片腕を掴んで、そのまま唇に噛み付くいっくん。
後はなされるが儘だ。
彼の舌に翻弄されるがまま。
甘い吐息が部屋に籠る。
心拍数は上がる一方。
優しい微笑みも、ちょっぴり意地悪な顔も、私を求めてくる顔も、穏やかな眠りに落ちた顔も。
全部大好きなんだよ。
だから私を好きに操って。
――私たちはもう一度唇を重ねた。
・
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黒兎(プロフ) - こむむんさん» いえいえ、こちらこそイケメンなトプ画を書いてくださってホントに感謝してます。完結は完結なんですけど、番外編書いてるので併せて呼んでくださったらうれしいです。 (2017年3月13日 16時) (
レス) id: 2172f3f018 (このIDを非表示/違反報告)
黒兎(プロフ) - 絵馬さん» ありがとうございます！楽しく読んでいただけたら本望です〜 (2017年3月13日 16時) (レス) id: 2172f3f018 (このIDを非表示/違反報告)
こむむん(プロフ) - めっちゃ面白かったです！もう完結だなんて、私吐血しちゃいそうです← 完結おめでとうございます！！ (2017年3月13日 13時) (レス) id: 3400672e6f (このIDを非表示/違反報告)
絵馬(プロフ) - 完結おめでとうございます！とても楽しく読ませていただきました。 (2017年3月13日 13時) (レス) id: e450e79069 (このIDを非表示/違反報告)
黒兎(プロフ) - クリームにゃんさん» 期待してて！ﾄﾞﾔｧ← (2017年3月7日 21時) (レス) id: 2172f3f018 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼 x他1人 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/satisfy15/
作成日時：2017年3月3日 22時
