検索窓
今日:1 hit、昨日:6 hit、合計:19,263 hit

第七十四章 ページ1

一松side


身体はがちごちとかたまってしまい、声まで出なくなりそうになってしまう。

俺はそれを阻止するために、ごくりと唾をのみ込んだ。

目の前には、Aの両親。


……自分への卑下の言葉を連ねそうになったので、繋がれていないほうの拳をぎゅっと固めて抑える。


『お父さん、お母さん。』


凜、としたAの声。


母「どうしたの?」


温和そうなAの母親の口調。

父親は顔色を変えず腕を組んでいて、その姿にまた心臓がばくんと音を立てる。

……嗚呼、心臓と胃が痛い。






――「最悪、あんた連れ去る覚悟だから。」





はた、と思い出した電話口での言葉。


あの時の言葉は嘘じゃなかった。


自分の口から素直に出た、本心。




――「……大丈夫だから、俺を信じてくれればいいだけだから。」





嗚呼。


一「……ひひっ。」


俺は聞こえないほどの小さな声で、自分を自嘲した。


随分と凄いこと言ってくれたじゃん、俺。




汗をかいてしまった拳を開く。


ちら、と繋がれたままの手を見る。


俺よりその手は小さくて、頼りなくて。


でも、今の彼女は真面目な顔して、こんな俺のために頑張ってくれようとしてくれてる。






……すっげー、嬉しい。





『あのね、今日は大事な話があって。


その……、っていっくん!?』



俺は、するりと彼女の手から自分の手を引き抜いた。


素っ頓狂な顔をする彼女を見やって、にやりと笑みを浮かべる。




一「……ひひっ。」


『え、急にどうしたの。』


一「……いや、特に意味は無いんだけど。」


『無いなら急に笑わないでよ。』



ふふっ、と微笑む顔は本当に愛らしい。


やっぱり俺、



一「……Aのその顔が一番好き。」


『へ?』


ここで廃ったら負けだ。

一度正面からAの両親を見据えると、両の手は床につけて。


額が床につくように頭を下げた。



そこで見ててよ、一松様の本気を、さ。



一「……俺、松野 一松って言います。


今は、Aさんの彼氏をさせて貰っています。


Aさんは、本当に優しくて、可愛くて、いい子で……。


彼女以外を好きになることなんか、俺には考えられない。



だからっ……!









お嬢さんをっ、俺に下さい。」

第七十五章→



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (29 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
97人がお気に入り
設定タグ:おそ松さん , 一松
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

黒兎(プロフ) - こむむんさん» いえいえ、こちらこそイケメンなトプ画を書いてくださってホントに感謝してます。完結は完結なんですけど、番外編書いてるので併せて呼んでくださったらうれしいです。 (2017年3月13日 16時) (レス) id: 2172f3f018 (このIDを非表示/違反報告)
黒兎(プロフ) - 絵馬さん» ありがとうございます!楽しく読んでいただけたら本望です〜 (2017年3月13日 16時) (レス) id: 2172f3f018 (このIDを非表示/違反報告)
こむむん(プロフ) - めっちゃ面白かったです!もう完結だなんて、私吐血しちゃいそうです← 完結おめでとうございます!! (2017年3月13日 13時) (レス) id: 3400672e6f (このIDを非表示/違反報告)
絵馬(プロフ) - 完結おめでとうございます!とても楽しく読ませていただきました。 (2017年3月13日 13時) (レス) id: e450e79069 (このIDを非表示/違反報告)
黒兎(プロフ) - クリームにゃんさん» 期待してて!ドヤァ← (2017年3月7日 21時) (レス) id: 2172f3f018 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/satisfy15/  
作成日時:2017年3月3日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。