幸せを君に２

呼んでみて ページ38

ガレットを食べたカフェを出ると、また藤ヶ谷さんのエスコートで車に。


F「これから夜ごはんまで少しドライブでもいいかな？」


藤ヶ谷さんに言われ、私は大丈夫ですと頷いた。


F「Aちゃん、さっきのお店で俺のこと呼ばないようにしてたでしょ？」


いたずらっぽい笑顔でそう言われる。


「出来るだけ呼ばない方がばれないかと思ったので…」


F「じゃあ今呼んでみて？」


「え？藤ヶ谷さん？」


F「そうじゃなくてー？」


「え？でも…今はお店じゃないですし…」


F「いいからいいから！呼んでみて？」


なんだか楽しそうに笑いながら運転している藤ヶ谷さんに押し切られ、私は名前を呼ぶ。


「太輔さん…」


F「なーに？」


返ってきた藤ヶ谷さんの声が今まで聞いた中でもダントツに甘くて私はドキッとしてしまう。


F「もしかして照れてる？」


「はい…やっぱり藤ヶ谷さんでもいいですか？」


F「えーやだなー？俺Aちゃんと仲良くなりたいし、名前で呼んでほしいなー？」


ダメ？と信号で止まったタイミングで甘えたような表情を見せられ、ついダメじゃないですと答えてしまった。


F「いっぱい呼んで慣れてね？」


「わ…わかりました…太輔さん…」


本当に藤ヶ谷さ…じゃなかった、太輔さんが言うように、何度も呼ばないと慣れることは難しそうで、帰るまでに自然に呼べるようになるのだろうかと心配になる。
それでもゆっくりでいいから無理しないでと笑って言ってくれる太輔さんの優しさに大丈夫かもしれないと思った。

キラキラの景色と錯覚→←名前で…

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