幸せを君に２

名前で… ページ37

さっきまで着ていた服をショッパーに入れてもらって、藤ヶ谷さんにエスコートしてもらって車に乗る。


「あの…本当にいいんですか？」


F「いいよ。本当に似合ってる。」


「ありがとうございます。」


F「これから甘いものを食べに行こうと思うんだけど、良いかな？」


「あ、前に言ってた…？」


F「そうそう、ガレットね！」


「楽しみです。」



ガレットを食べるために藤ヶ谷さんが連れてきてくれたお店はランチを食べたお店よりももっとオシャレで女性客が多く、藤ヶ谷さんが藤ヶ谷さんとバレてしまったらまずいのではないかと私はハラハラしていた。



「あの…大丈夫ですかね…？」


F「ね。なんかドキドキする。」


お茶目な感じでそう言う藤ヶ谷さん。


F「あ、俺のこと名前で呼んでくれないかな？その方がばれにくいと思うんだ。」


「え…と…太輔さん…？」


F「呼びにくい？」


「慣れないです…」


F「じゃああだ名でもいいよ。」


「あだ名…？」


F「太ちゃんとか？」


「…太ちゃん…や、太輔さんで…」


F「ふふふ、どっちで呼ばれてもAちゃんからならドキッとしちゃうわ。」


ドキッとしちゃう、なんて藤ヶ谷さんは笑っているけど、私は名前を呼ぶのに緊張しすぎて全く余裕はない。

おかげでせっかくのガレットも甘くておいしいということはわかったけど、細かいことまでは覚えていられなかった。


F「夜はね、和食を食べに行こうと思ってるんだけど、どうかな？」


「はい、和食好きです。」


F「良かった！俺も和食好きでさ、最近お気に入りのお店なんだ！そのお店は個室あるから安心してご飯食べられるよ。」


「そうなんですね。楽しみです。」


F「Aちゃんって料理上手だよね。」


「そんなことないですよ？普通くらいだと思います。」


F「この前北山の弁当の生姜焼き食べたけど、すっごい美味しかったよ！！」


「あ、北山さんが食べられたって言ってました。」


F「北山ばっか美味しいご飯食べられるのずるいなーって思って横から食べちゃった。」


北山さんもだけど、藤ヶ谷さんもとってもストレートに伝えてくれるので、私は本当に戸惑ってしまうし、照れてしまう。

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