幸せを君に２

北山さんの優しさ ページ21

どうして北山さんはこんなにも私に良くしてくれるんだろう？
男の人にこんなにも優しくしてもらったことなんてなかった。

ちょっと優しくされたと思ったら、身体だけを求めてくるような人だったり、お金目的の人だったり…
そんななか龍に出会って、龍は身体だけとか、お金をせびるとか、そういうことしなくて、普通に優しくしてくれてた。
だから龍を好きになるのに時間はかからなくて…

あっという間に付き合うことになった。
でも付き合うようになった途端、龍は豹変した。
すぐに私に暴力を振るうようになった。
最初は軽く叩く程度だった。
それがどんどん…
思い出すだけで震えが止まらなくなってしまうほどのトラウマになるくらいになってしまった。


だから北山さんの優しさに戸惑ってしまって素直に受け取ることができない時もある。

北山さんの家に引っ越すだなんて、今以上に迷惑をかけてしまうことになる。
でも北山さんの家に住めると考えると、安心できるし、本当は甘えてしまいたい。

私は今の気持ちを正直に話してみることにした。




「北山さん…」


Ki「ん？」


「私…何もできません。」


Ki「え？」


「ずっと、北山さんは私のためにいろいろしてくださってるのに、私は何も返せなくて…迷惑ばかりかけて…」


Ki「迷惑なんて思ってないんだって、ほんとに。」


「…本当ですか？」


Ki「本当だよ。だから俺のところに引っ越しておいで。」


「……お願いします。」



悩んだ末に私がそう言うと、北山さんは本当に嬉しそうに笑ってくれた。



Ki「じゃあとりあえず今日は服とかすぐに必要なものだけ持って行こう。後の物は引っ越し業者に頼んで、後日俺の家まで持ってきてもらえばいいし。」


そう北山さんが言ってくれて、私はありがとうございますと言ってまた荷造りを再開する。

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