嫌われ者なあの子に仕方ないから姫の座、譲りました。 (ページ11)

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9話ページ11

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you side

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ちゅんちゅんと、窓から音がして
身体を起こす。心の穴がぽっかり空いたような朝に私は伸びをした。

「んんんん～」

力一杯に腕を上にあげれば漏れ出す声。
私の声とは思えないくらいガラガラとしている。昨晩あったことを思い知らされるような。

あんなに叫んだの、いつぶりだっけ。

思ってない言葉をぶつけたのって。

『愛される為に愛しなさい。』

いつからか貰った言葉。もはや座右の銘。

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「…はぁ。」

いつまでもぐたぐたしてちゃいけない。

そんな思いで、私は寂しい真っ白な小さい部屋で着替えを始めた。

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「待って、普通に可愛い。」

いつもは、姫ということでピンク色のふわふわのドレスやインワンピースなどを着せられるのだが、自由の身となった私は今、どんな服でも着れる。その為、今日は肩出しワンピースを着た。

メイドがやってくれていた身なりも
初めて自分でやった。メイクってこんなに
楽しかったんだ。と新たな発見ができた。

『やっぱり、この暮らしも悪くないかも。』

私の頭の中でその一言が浮かんだ。

とは言え、これは1日目。おためし期間で
しかない。これからなにが起こるかわからないし、あの真奈ちゃんの事だから何を起こすか分からない。真奈ちゃんとのモーニングティーの約束は10時。今は9時。残りの1時間、私はこの暮らしを日記にすることにした。

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「御機嫌よう、Aさん。」

「御機嫌よう。そちらの椅子に座ってね」

向かい合うテーブルに私は右側

真奈ちゃんは左側に座った。

「…ねぇ、本当に良かったの？」

遠慮がちに私の目を見て尋ねる真奈ちゃん。

わあ、本当に演技が上手い。
本当は嬉しく嬉しくて今にも早く自慢
したいのでしょう？

仕方ないから、聞いてあげるよ。

「えぇ、真奈が幸せなら。
何か暮らしに変化はあった？」

そう聞けば、待ってましたと言わんばかりに語り出す真奈ちゃん。

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【プチ設定】

Aさんは内心、真奈ちゃんと呼んでいますし、真奈が居ない所では「真奈ちゃん」と言ってますが、真奈には『味方』と思われたくないのでわざと本人の前で「真奈」と呼んでいます。