【名探偵コナン】…秘密…8【降谷零】

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あれから１週間が過ぎ
ジンはいつものようにメロンパンを買って
いつもの場所でAを待っていた



(今日は遅いな…)




煙草を吸いながら待つものの
一向に来る気配がない




この前はつい感情的になってしまい
Aを傷つけた

今日はとにかく謝ろうと
ジンも腹を括って来たのだが…


いつもの時間を過ぎても来ない



ジンは焦りを感じつつも
車の中で待っていた



30分…


１時間…


２時間…




それでもAの姿は何処にも見えない

こんなに誰かに待たされたのは
初めてのことだった

特に女性から待たされることなど
今迄になかったのだ



(A…)




この前からジンの頭の中には
いつもの笑顔のAではなく
涙を浮かべたAの顔がチラつく

ふとした瞬間に
あの悲しい顔を思い出すと
胸が張り裂けそうになるのだ



寂しいのか、悔しいのか…

ジンは唇を噛み締めて
車を発進させた




あんなに自分に対して
優しい笑顔を見せていたのに
それを一瞬で壊したのだ

この遣る瀬無い思いをどうするか…



ジンはどんどんスピードを上げ
アジトへと向かった



そして、その次の週も
その次の週も…

ジンはメロンパンを買って
Aを待つのだが
もう２度とAが
あの場所にくることは無いことを
この時のジンは知らなかったのである









(またか…)


ウォッカはジンから
毎週水曜日にメロンパンを渡され
全部残さず食べるようにと言われていた


心なしか最近のジンは
ウォッカから見ても元気がなく
何処か憂いを帯びた表情を浮かべていた



(女でも出来たのか…？)



ジンはウォッカとは違って
昔から女にモテていたのだが
最近はどの女も寄せ付けていない




(女…？でも何でメロンパンなんだ？)




色々考えてはみるものの
ウォッカの頭ではなかなか真相には
辿り着きそうにはなく
今週もポロポロとパン屑を零しながら
メロンパンを食べ尽くし
ベルモットに嫌味を言われる前に片付ける



(もし、兄貴を夢中にさせる女がいるなら
見てみたいぜ…)




だが、残念ながら
ウォッカとAが出会うことは
これから先もなかったのだった

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