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「わぁ〜、めっちゃっかわええ〜!!」
「ちょ、やめてください……っ!」
「ははは、たいぎゃむぞらしかぁ」


 私は今、小さくなった簓さんに抱き着かれている。ふわっふわっのエメラルドグリーン色の髪が頬に触れて、くすぐったい。その上、小さい子特有のふにゃふにゃとした手でほっぺを揉まれている。
 なにこれ、幸せか。この距離だと、ミルクの様な子ども独特の香りに包まれてしまう。さっきから簓さんが近くにいるせいか、身体が温まって仕方がない。頭のなかがぽかぽかして、だんだん眠たくなってきた。


 先ほど、慌ただしく私の家を訪ねてきたのは一氏君だった。


「こんガキ、預かってや!なんや、よう分からんけどAの家の子らしいわ!」


 それだけ言うと、白いレインコートの様なものにくるまっていた簓さんを千歳くんに押し付けた。「今日、小春とデートやねん!」と自慢しながら、玄関の扉をバタリと閉じていく。まるで台風の様だった。


 うつらうつらとしていると、簓さんに頭を撫でられた。


「Aチャン、ねむたなったんか?」
「……子ども扱いしないでください。眠たくないですから」


 瞼をこすりながら言えば、簓さんに腕を取られた。

 そして彼は、いつの間にかうちのキッチンへ行ってしまった千歳くんに声を上げていた。
 千歳くんの家にはテレビが無いらしく、お笑いにはあまり詳しくなかった。簓さんは芸人なんだよ、とだけ言えば「そりゃ凄か」とだけ返ってきた。
 そんな彼は今、お昼ご飯を作ってくれている。「偶には料理すんのも楽しかね」と言っていたので、きっと普段はインスタントですませているのだろう。……心配だ。


「どぎゃんしたと?ぬるでくん」
「あんな、Aチャンが眠そうやねん。せやから、一緒にお昼寝してもええ?」


 少しの間のあとで、コンロが切られる音がした。ペタペタと足音がして、千歳くんがこっちまでやって来る。
 彼は私たちの近くでしゃがんだ。

 千歳くんは、小さい子どもが怖がらないように気を使ってくれている。おそらく、無意識だろう。(さきほど一氏くんがやって来た時、私から見て巨人のように見えた彼はとても怖かった。声も大きかったし……)


「Aさん、眠たかと?目、つむっとるとね」
「つむっとらん……」
「もっこすやね、Aさん」
「もっこす……、違うし」


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高炉 - 八守葵さん» ここから心苦しいことが続きます。どうかお付き合いください。 (2021年5月29日 19時) (レス) id: 996b1b07b3 (このIDを非表示/違反報告)
八守葵(プロフ) - うわぁ…小鳥遊さんを通して自分の気持ちに気付いて混乱というか不安というか………夢主ちゃんの気持ちは気付いちゃいけなかったのかな…簓さんの懇願するみたいな心の叫びに凄く胸が締め付けられました……泣きそうです… (2021年5月26日 7時) (レス) id: e7d640d42f (このIDを非表示/違反報告)
高炉 - 八守葵さん» 大切にしてるからこそ、ガンガン攻められない簓さん……。自分の癖を詰め込んでいく方向で執筆しております。同志がいてくれて嬉しいです。 (2021年5月22日 17時) (レス) id: 02eddfa9d5 (このIDを非表示/違反報告)
八守葵(プロフ) - ハァァァ〜〜、待って下さいシチュエーション最高すぎません?彼氏って言われて浮かれるのとか芸人としてじゃなくて一人の男の人として夢主ちゃんに想いを寄せているんだなぁ……って思いました! (2021年5月21日 22時) (レス) id: e7d640d42f (このIDを非表示/違反報告)
高炉 - 八守葵さん» いえいえ!こちらこそ、企画期間中たくさんのリクエストをよせていただきありがとうございました。猫化の話など、個人的に気に入っております! (2021年5月9日 19時) (レス) id: 348a12973c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:高炉 | 作成日時:2021年5月1日 17時

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