【あんスタ】 遊木兄弟の希望論。【遊木 真】【男主】

瀬名以上、氷鷹以上。* ページ32

#零side









「……分かっておるよ。実来。」









本当にこの子は尊い子じゃ。









「………ありがとう。零。」









……心から微笑む実来だが、心底キツいのじゃろう。表情が暗い。
これは申し訳無いことをしたのう………









「……大丈夫。俺は『fine』には意地でも行かないし…他のユニットに移籍するってことも全く考えてない訳じゃないから。









……ま、とりあえず今は一人で充分って事を証明するためにも…明後日の緊急ライブを成功させなきゃね!!」









ニカッと、効果音付きで実来は笑顔を作ってみせる。









「…そうじゃの。一人で大丈夫だと言う事を直に証明してやると良いじゃろう。」









だがしかし、約2、3年一緒に過ごすと…一見完璧に見える実来にも欠点が確かに存在している事が分かるのじゃ。









「うん。絶対に成功させるよ。“完璧な俺”で。」









……この子は、瀬名くん以上にストイックで氷鷹くん以上に『完璧主義』じゃ。









「………無理をするでないぞ、実来。倒れてしまっては元も子も無いじゃろう。」









「……無理しなきゃ…お客さんが求めてるパフォーマンスは出来ないよ？俺はただでさえ“出来損ない”なんだから。」









……そして、“自分の価値”を分かっていない。









自分がどれだけ素晴らしい歌声を持っているのか。自分がどれだけの人々を虜にしているのか。









…この子は自分の努力を信じておらんのじゃ。









「……お主は出来損ないなどではない。何度も言っておるじゃろう…お主は“神話になるべき逸材”じゃ、と。









………もっと気を楽に持て。…でないといつか“完璧”の牙城は崩れてしまうぞい。」









……この世に“常に完璧なもの”は存在しない。









……完璧であってもいつかは崩れてしまう。









「…………うん。ありがとう、零。」









…実来はそう言うとこてん、と我輩の肩に埋まった。









「……ちょっと仮眠とるだけだから。…10分したら起こしてね……？」









………そう言い残して眠ってしもうた。全く…かわゆいのう……本当に天使のような子じゃわい。実来に言ったら怒られるがの。









「……ゆっくりお眠り。実来…」

してやられた弟君*→←『A*S』の由来*

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