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逃げるように階段を駆け上がり、部屋のドアをバタンと閉じる。
そしてそのまま、床にペタンと座りこんだ。
ダンゴムシがいい物って…
しかもポケットに入れるだなんて…
信じられないようだけど、そういえば奈子は、いままでこんなこと何回もしてきた。
例えば奈子が幼稚園生のとき。
花をたくさん摘んできたかと思えば、茎にバッタがくっついていたの。
そのバッタが見つかったのは、家の中でね。
それだけでも私にとっては恐怖なんだけど、奈子はその時なんて言ったと思う?
『わあ!可愛いっ!』よ!!
そこまではまあいい。
人によって考え方は違うし、わざとバッタを家の中に持ち込んだわけじゃないし。
でもね、その後奈子は『飼おう』って言い出したの!
『虫かごに入れちゃ可哀想』って言って、野放しにしてね!
ほんっと天真爛漫というか、天然というか…
天然といえば、まだエピソードがある。
小学校入学前、奈子はランドセルを背負って登校することを楽しみにしてたのよ。
朝も昼も晩も、鏡の前で背負ってね。
だけど入学式当日、ランドセルを背負わずに学校に行こうとしてたのっ!
あんなに楽しみにしてたくせに、なんで当日に忘れるのよ…
先が思いやられる…
将来、ちゃんと働けるのかしら…
ため息を吐いて、通学バッグを机の上に置く。
秀明に行く準備をしよう、とテキストを取り出したときだった。
「お姉ちゃん」
奈子が部屋のドアを開けて、にっこり笑った。
「さっきは驚かせちゃってごめんね
ダンゴムシがダメでも、アリはいいよね?」
そう言った奈子の手には、アリ、アリ、アリの軍団。
………
「いいわけないでしょっ!!」
fin.
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