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ネズミ事件 ページ14

下駄箱で、くつを履き替えようとしたときの事だった。

「げぇっ・・・・」

「ん?どうし....うわっ!」

そこにあったのは、ネズミの死体。
やめて、ほんとにもうやめて。

「やだ、なにこれ、やだ」

「落ち着けっ!立花!」

忍の声に、私はハッとする。
あぁ、ダメ、落ち着かないと。

「立花さん?....きゃぁぁぁああ!!!」

まずいっ!
クラスメートにばれたっ!

「どうした? ・・・・ぎゃぁぁ!」
「え、なになに?」
「あの子の靴箱、ネズミがっ!」
「え?いじめ?」
「なに?あの子、またいじめられてんの?」
「やっば、そーとー性格悪そう」

あぁ、もう....。

もう、ものすごくみじめだった。

半ば呆れがあったのに、それでも涙が滲んでくる。
あぁ、やっぱ、私って弱いなぁ。

「なにやって....? っっおいっ!そこどけっ!」

バッと見ると、翼がこちらに向かってきているところで。
ちょうどそちらから光が差し込んできていて、まるで天使のようだった。

「ちょっといい?アーヤ」

その声で、私は我に返る。

翼は、ネズミを取り出した紙に丁寧に包み、近くにあったゴミ箱に捨てる。
下駄箱は、借りてきたらしい雑巾で綺麗に拭いてくれた。

「もう、大丈夫だから」

翼の声に、また涙が出そうになる。

「ありがと」

そんな私の声は、涙で震えてしまった。

「七鬼、立花を抱っこしろ」

「ん、りょーかい」

ふわり、と体が浮く感覚がし、思わずギュッと目をつぶる。
目を開けると、そこには忍の綺麗な顔。
私は、忍にお姫様だっこされていた。

「さっき、すぐ動けなくてごめん。ちょっと、どもった」

その顔には、後悔の念があった。

「んーん、大丈夫」

助けようとしてくれた事自体、嬉しいよ。

翼がすこし歩き、言う。

「ほら、行こ」

忍も、それについていく。
着いたのは・・・・保健室だった。

「せんせー、立花さん、一時間目休みます」

え....。

確かに、授業を受けれるような状態じゃない。
でも、授業は休みたくなかった。

「大丈夫。ノート、後で見せるから。分かんないとこも、教えるよ」

私は、ちょっと戸惑ってしまった。
こんなに、甘えてていいのかなぁ。

「じゃ、せんせ、立花さんをよろしく」

忍も、私をゆっくりとベットにおろしながら言った。

「ん、ゆっくり休んでよ」

「じゃあね」

あぁ、いっちゃった....。


仕方なく、私はゆっくり休むことにした。

ありがとね、翼、忍。

怒ってる?→←今度は刺されそう



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ゆうな - すごく面白かったです探偵チームの信頼がグッド詰まっているお話でした (2021年8月20日 0時) (レス) id: 9c262f26ff (このIDを非表示/違反報告)
#モモ# - 次の作品も楽しみにしてます! (2021年8月16日 21時) (レス) id: a8579e89ad (このIDを非表示/違反報告)
おれんじ - お疲れ様です (2020年4月9日 18時) (レス) id: c350fd39bf (このIDを非表示/違反報告)
(〃ω〃) - 俺たちの、大切な大切な天使なんです(上杉)(〃ω〃) (2019年8月20日 19時) (レス) id: 3d3f2d0827 (このIDを非表示/違反報告)
上杉 亜沙美 - とても良いお話でした。 (2019年8月9日 10時) (レス) id: eea7cb4a8f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:結花@Project KZ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/santsuguji2/  
作成日時:2019年3月29日 19時

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