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おなかいっぱいになったら寝る。
そういう所がいつも喧嘩っ早い佐野からは想像が付かなくて可愛くて仕方なかった
だけど今日の佐野は寝ようとしない
お子様セットを食べ終わったあと私が立ててあげた旗をくるくるっと回しながら何か考えている
『佐野、今日は寝ないんだ』
「ん、」とこちらに顔を向けると目が合った。逸らすかと思えばじっと見つめてくる佐野
どうしたのと首を傾げると佐野は少し気まづそうな顔をした
「俺、お前にどんな顔して会えばいいのかわかんなくてさ」
「この前は酷ぇこと言ってごめん」
“この前”とはきっと別れた時のことだろう。あの時の佐野の言葉は確かに私の胸をえぐり取るかのようなきついことばかりで、正直別れてから1週間は毎日佐野が夢に出てきてあの時のセリフを繰り返すので魘されて中々熟睡出来なかった
謝るってことはあの言葉は本心ではないってこと?佐野はどういう意味で私に言ったのだろう、頭を悩ませていると佐野が口を開いた
「俺と別れたって理由でお前から
『…そんなに佐野に謝られると流石に気持ち悪いよ、佐野はこう、もっと意地でも謝んねぇ!て感じでいてもらわないとさ』
ね、?と言うと黙り込む佐野
私は佐野と別れてから東卍には顔出すなって言われてたし、まぁそう言われなくても佐野と気まづすぎて集会には顔出さなかったと思うけど。
いつも私の居場所だった東卍はなくなっちゃったわけで、だからって今更戻るかって言われたらそういうわけでもないんだけど
『私、さ』
じゃあ今私が佐野に伝えるべきことはなんだ
私がいちばん伝えたいこと
それは
『私ずっと佐野のこと想ってたよ』
『だから、やり直したい』
これが私の気持ちだ。ずっとずっと私には佐野しかいない、佐野がいない未来なんて考えきれないし、隣にいて欲しいのも隣にいたいのも全部全然佐野だけ。
なのに、
「……もう俺とのことは忘れろ」
______
佐野が店を出ていくのと同時にエマが帰ってきた。
泣いてる私を見つけて飛んできて、「A!?何があったん?」と騒ぎ立てる
私がエマに全部話すと、「あのバカマイキー、家帰ったらぶん殴っとく」と私の頭を撫で続けてくれた
お子様セットのお代はいつの間にか支払われていた
佐野のハンカチを返し忘れたことに気づいたのは家に帰ってからだった
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作者名:三ツ谷サイダー | 作成日時:2021年8月23日 13時