暴戻の片割【石田三成】弐

頭領帰還 ページ8

門の向こうにいたのが誰で、何のようだったのか分からず仕舞いで、結局昨夜のことは“Aの勘違い”ということになった。

A自身も、あまり気にするまいとして、孫市の帰りを待つことに。


「頭領と一緒に帰ってくる奴らも相当怪我を負ってるだろうからな...。念のため、色々準備はしておくか」

A「そうですね」


大丈夫そうな者達を集めて、重症で帰ってくるであろう仲間のために薬などの準備をする。

そして、孫市達が帰ってきたのは、昼過ぎだった。


孫市「留守を頼んですまなかったな」

「いえ、Aも手伝ってくれたので助かりましたよ」

孫市「そうか。A、少しいいか？」


白湯を持っていたAは、「はい」と返事をしてそのまま孫市の元へ向かう。


「A、白湯白湯」

A「あ、忘れてました。少し待っててください！」


白湯を入れた桶をそのまま持って来ていたAに、兄貴分の男が注意をするとAは白湯を置きに一旦医務室へ向かった。


「すみません。少し抜けているところがありまして...」

孫市「いや、大丈夫だ。その辺は見てて飽きない」

「それには同感です。ところで頭領、昨夜誰か来たとAが話していたのですが...心当たりはありますか？」

孫市「昨夜に？いや、特に無いな」

「そうですか。やはりAの聞き間違いですね」

孫市「誰か来たのか？」

「ずっと門を叩く音がしていると聞いたのですが、某が来た時には誰も居ず。暗闇が怖くて風の音と間違えたのかと」

孫市「そうか。ならいいのだが」

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