終わりの始まり ページ38
時の人であった武者狩りは完全に消えた。
人々を恐怖に陥れた武者狩り。
誰が手引きして、誰が行っていたのかすら、未だ一部の者にしか分かっていない。
証拠的記録が無い中、後世に伝わったのはその名だけ。
武者狩りは後に、山賊悪行の伝説と変化していった。
「討伐伝...」
店主「おっ!お客さんお目が高い!それは新刊でね。ほら、武者狩りって伝説は聞いたことはあるだろう?それを元にした本だよ」
平和となった日ノ本の城下町は活気に満ち溢れ、ある人は書店でなにやら気になる書物が目に止まる。
店主「なにしろ記録が残ってないからね...数十年も前のことだからきっと強い山賊を誇張したいい名だったんだろうよ。ちなみにこの武者狩りは五人いてな...」
店主は得意げにぺらぺらと話すが客人は黙ったまま笠を深々と被り直す。
「武者狩り...懐かしい名です」
店主「興味があるかい?お安くしとくよ?」
にまにまと笑顔を浮かべる店主だが、客人は「いや」と書店を通り過ぎて行った。
「おーい。この本を...どうした店主?」
店の奥の方にいたもう一人の客人は呆けた店主に声をかけた。
店主「あぁ、さっきの客人...女、だよな?顔に傷があったから男だと思ったんだが...」
*******
書店にいた客人は出来立ての甘い香りがする団子屋を訪れた。
「あ、みたらし団子を一つ下さい」
「はーい」
店員に注文をし、先に奥の席に座っていた男に声をかける。
「ご一緒しても宜しいですか?」
「...断る理由が見当たらん」
「では、失礼します」
相席、という形で男の向かい側に座り注文の団子を待った。
「武者狩りも、もはや伝説ですね」
「記録がないからな」
「まあ、それはそれでいいですけど」
注文していたみたらし団子が来ると、男の方に「お一つどうです?」と問いかける。
「政務も忙しいと思い、こうして私が気分転換にと誘ったのに、私が来るまでお茶しか飲んでいないとはどういう事です?」
「また小言か」
男はうんざりしつつも団子を一つ手に取った。
「相変わらず変わりませんね」
「貴様が言うか」
「いやー私は変わりましたとも。一回死んだみたいなもんですから」
「たかが気絶していただけで大袈裟だ」
「たかが気絶でも泣きながら心配していたのはどこのどなた...いたたた痛い、痛いです!ごめんなさい!」
抓られた頬は、確かな痛みを持っていた。
【完】
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三楓(プロフ) - ルカさん» コメありがとうございます!三成様の優しさが上手く表現出来ていれば幸いです(笑)(´∀`*) (2019年1月17日 0時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
ルカ(プロフ) - こう…なんというか…三成様は優しい人なんだな。っていうのが改めて分かりました (2019年1月3日 12時) (レス) id: 4bcfa0b979 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 豊臣軍Loveさん» コメありがとうございます!三成様ってキツい物言いだから誤解されることが多いだけであって、本当は面倒見がよく優しい方だと思うんですよね(*´∀`*)楽しんで頂けて嬉しいです!最後まで読んで下さりありがとうございました! (2018年4月1日 16時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
豊臣軍Love - 面白かったです!最後のほうで泣いてしまいました笑笑感動です!なんか、この小説の中の三成はほんとは優しいって気持ちがわかる作品で良かったです!(*^^*)これからも頑張ってください! (2018年4月1日 1時) (レス) id: 117b53f6a2 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - ビルムーンさん» コメありがとうございます!最後まで読んで下さりありがとうございました(*´∀`*) (2018年1月17日 22時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:三楓 | 作成日時:2017年5月22日 10時