勝利 ページ37
三成「おい待て、Aが一人で金吾の軍と闘っただと?」
弾幕の外で刑部を呼び止めた三成は僅かに混乱していた。
それもそうだろう。三成はAが怖気付いて逃げたと思っていたのだから。
刑部「そのような無謀なことをするのはA以外におるまい。主は気づかなかったのか?」
三成「...」
刑部「まあ、おおよそ謀反の知らせを聞いて頭が回らなかったのであろうが...。おぉい、三成、せめて包帯くらいは持って...やれやれ」
ぐちゃぐちゃの包帯を巻きなおしながら刑部は急に走り出した三成の後を追った。
*******
三成「馬鹿だっ...私は馬鹿だった!」
自分が主と指導しておきながら、Aがたった一人で敵陣に行ったことに気がつけなかった。
総大将になった分、自由に動けない自分に代わってAは動いてくれていたのだ。
三成「A...!」
紅葉の下で横たわるAを発見すると三成は真っ先に彼女の肩を揺らした。
三成「A、おいA!」
ぬちゃっとした感触に思わず肩に触れた手を返してみる。
真っ赤な血が三成の掌に広がっていた。
横たわっていたAを起き上がらせてみても彼女はぐったりとしたまま動こうとしない。
三成「...良くやった。貴様のお陰で私達は勝利したのだ。もう戦は終わった」
Aの頬に着いた返り血を指で撫でるように拭い、三成はそのまま彼女を抱き上げた。
三成「...共に秀吉様の城へ帰ろう。たまには貴様の生意気な口を聞くのも悪くない」
刑部がそこについた時には既に三成がAを抱えて、本陣へ引き返そうと立ち上がった時だった。
三成「...そうだ、私からも貴様に伝えなければならない事があった。城に戻ったら聞いてくれるか?A」
眠ったままのAを本陣へと連れていく三成。
刑部「まて三成、せめてAの手当てを...」
言葉を切った刑部はすれ違いざまに見てしまった。
あの三成が、泣いていた。
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三楓(プロフ) - ルカさん» コメありがとうございます!三成様の優しさが上手く表現出来ていれば幸いです(笑)(´∀`*) (2019年1月17日 0時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
ルカ(プロフ) - こう…なんというか…三成様は優しい人なんだな。っていうのが改めて分かりました (2019年1月3日 12時) (レス) id: 4bcfa0b979 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 豊臣軍Loveさん» コメありがとうございます!三成様ってキツい物言いだから誤解されることが多いだけであって、本当は面倒見がよく優しい方だと思うんですよね(*´∀`*)楽しんで頂けて嬉しいです!最後まで読んで下さりありがとうございました! (2018年4月1日 16時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
豊臣軍Love - 面白かったです!最後のほうで泣いてしまいました笑笑感動です!なんか、この小説の中の三成はほんとは優しいって気持ちがわかる作品で良かったです!(*^^*)これからも頑張ってください! (2018年4月1日 1時) (レス) id: 117b53f6a2 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - ビルムーンさん» コメありがとうございます!最後まで読んで下さりありがとうございました(*´∀`*) (2018年1月17日 22時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:三楓 | 作成日時:2017年5月22日 10時