天明 関ヶ原〜忠誠〜 ページ34
生まれついた時から、金吾は戦が大嫌いだった。
生々しい鮮血、死にゆく人、己に襲いかかる刃...全身が震え、吐き気が込み上げてくるほど苦手だ。
当主でいても所詮は駒としか扱われていない金吾に、他国は「当主を辞めて鍋奉行にでもなった方がお似合いだ」とからかっていた。
自分でもその通りだと感じていた。
出来るものならやっていた。
でも家臣達がそれを許さなかった。
だから精一杯頑張っているのに、誰も評価してはくれない。
そんな金吾を救ったのが家康だ。
他の大名なら「軟弱者」と蹴る言葉でも、家康はそんな金吾の言葉に耳を傾けてくれていた。
金吾「天海様...僕は...」
天海「金吾さんは間違っていませんよ。良かったですね。これで金吾さんは悪夢から解放されます」
口を隠す天海の表情は読めない。
それでも、こんな自分に知恵を与えてくれた天海は感謝すべき存在だ。
それが例え、どんな卑劣な策でも。
天海「...おや、金吾さんに客人のようですよ」
金吾「え?」
大谷吉継の方へ進軍していた金吾の先には一人の少女が立っていた。
金吾「A、さん?」
A「金吾さん、こういう事だったんですね」
目の前に立つAは、無表情で金吾達を見つめている。
金吾はその表情が恐ろしくもあった。
金吾「ぼ、僕は家康さんに勝ってもらいたいんだ!何をしようと僕の勝手だよ!」
震える言葉でも強がった。
それでもAは表情を崩さない。
天海「Aさんはこんな所で何をしているのですか?まさか、今更説得しに来たんですか?」
A「説得したって無駄でしょう。もう、言葉なんて必要ありませんよね?」
その言葉の意味は、流石の金吾でも分かったらしい。
金吾「やめなよ...。いくら雑賀衆でも、たった一人でこの軍勢を止めるなんて無謀すぎる」
A「無謀...確かにそうかもしれません。でも、金吾さんが家康さんを慕うように、私も三成さんを慕っているんです」
孫市に貰った短筒を取り出し、Aは金吾達に銃口を向けた。
A「三成様の元へは行かせません。貴方々のお相手は、この武者狩りがお相手します」
39人がお気に入り
「アニメ」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
三楓(プロフ) - ルカさん» コメありがとうございます!三成様の優しさが上手く表現出来ていれば幸いです(笑)(´∀`*) (2019年1月17日 0時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
ルカ(プロフ) - こう…なんというか…三成様は優しい人なんだな。っていうのが改めて分かりました (2019年1月3日 12時) (レス) id: 4bcfa0b979 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 豊臣軍Loveさん» コメありがとうございます!三成様ってキツい物言いだから誤解されることが多いだけであって、本当は面倒見がよく優しい方だと思うんですよね(*´∀`*)楽しんで頂けて嬉しいです!最後まで読んで下さりありがとうございました! (2018年4月1日 16時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
豊臣軍Love - 面白かったです!最後のほうで泣いてしまいました笑笑感動です!なんか、この小説の中の三成はほんとは優しいって気持ちがわかる作品で良かったです!(*^^*)これからも頑張ってください! (2018年4月1日 1時) (レス) id: 117b53f6a2 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - ビルムーンさん» コメありがとうございます!最後まで読んで下さりありがとうございました(*´∀`*) (2018年1月17日 22時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:三楓 | 作成日時:2017年5月22日 10時