烏城の美食家 ページ27
寒さも厳しくなってきた頃、屋敷を歩いていたAの前にいい香りが漂った。
A「なんだろう?この匂い...」
気になって、匂いのする方へ足を進めると話し声が聞こえてきた。
「いやー寒い時には鍋が一番だよね」
「金吾さんは年中食べているではありませんか」
話し声はどうやら台所のからで。Aはちらりとその様子を伺った。
「おや、誰か来たみたいですね」
「え...そ、そこにいるのは、誰!?」
A「あ、すみません...脅かすつもりは無かったんですけど...」
Aの視界に映ったのは、口を隠して、のらりくらりとした白銀長髪の男とその男の後ろでびくびく震える小さな男だった。
「じ、女中さん?」
「これはこれは。どこかで見た事ある顔かと思いましたが、あなたはもしや武者狩りの方ではありませんか?」
白銀長髪の男が懐かしい単語を口にする。
「え、えぇっ!?む、武者狩り!?ぼ、僕を狩っても美味しくないですよぉぉ!」
A「あ、ひ、人違いです!私は雑賀衆の者で今は三成さんに雇われてここにいます」
「おや、そうでしたか。それは失礼しました」
なんとか誤魔化したが、今度はさっきまで叫んでいた小さな男が小刻みに震えながら長髪の男に尋ねた。
「て、天海様...雑賀衆は家康さんの所に行ったんじゃなかったっけ?」
A「私は別でこちらに雇われたんです」
「そ、そうなんだ...。君も大変だね...あ、鍋食べる?」
敵ではないと分かった途端、小さい方の男はほっとしたように火にかけていた鍋を指さした。
A「貴方が作っていたんですか?」
「そうだよ。だって僕は戦国一の美食家になるんだからね!」
へへんっと得意げに威張る男を無視して長髪の男の方が「申し遅れました」とAの方を向く。
「この方は金吾さんです。そして私は僧の天海と申します」
A「あぁ、すみません。てっきり料理長さんかと」
金吾「こんな所の料理長なんて僕は御免だよ」
割と本音だったのか、弱々しそうな眉を更に曲げて金吾はぐつぐつと煮えた鍋の味見をしていた。
金吾「こっちに来て同盟しに来たのはいいけど、やっていける気がしないよ。三成君は怖いし大谷さんは意地悪だし...」
その中に左近がいなかった事からどうやら左近とは仲良くやっているらしい。
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三楓(プロフ) - ルカさん» コメありがとうございます!三成様の優しさが上手く表現出来ていれば幸いです(笑)(´∀`*) (2019年1月17日 0時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
ルカ(プロフ) - こう…なんというか…三成様は優しい人なんだな。っていうのが改めて分かりました (2019年1月3日 12時) (レス) id: 4bcfa0b979 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 豊臣軍Loveさん» コメありがとうございます!三成様ってキツい物言いだから誤解されることが多いだけであって、本当は面倒見がよく優しい方だと思うんですよね(*´∀`*)楽しんで頂けて嬉しいです!最後まで読んで下さりありがとうございました! (2018年4月1日 16時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
豊臣軍Love - 面白かったです!最後のほうで泣いてしまいました笑笑感動です!なんか、この小説の中の三成はほんとは優しいって気持ちがわかる作品で良かったです!(*^^*)これからも頑張ってください! (2018年4月1日 1時) (レス) id: 117b53f6a2 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - ビルムーンさん» コメありがとうございます!最後まで読んで下さりありがとうございました(*´∀`*) (2018年1月17日 22時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:三楓 | 作成日時:2017年5月22日 10時