【刀剣乱舞】人形少女の微笑むとき2 (ページ10)

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36、じじいのことが嫌いなのか？ページ10

宴もたけなわ。
混沌としていた宴会も、ある程度落ち着き、酒を飲みすぎた数振りが潰れているところで、除夜の鐘が鳴り始めた。

「…かねのおと…？」

「そう。確か、長谷部殿が鳴らすと張り切っていましたな」

弟たちの世話ということで基本は断っていたものの、多少は付き合いとして飲んでいるらしく、いつもよりも上機嫌ないち兄がにこにこしながらそう教えてくれた。
しばらく静かに鐘の音を聞いていると、不穏な気配を感じ、あたりを見回す。

「Aは、じじいのことが嫌いなのか？」

「A～！遊ぼうじゃないか！」

Aに逃げられたのがよほどショックだったのか、いつもなら絶対にしないスピードで酒を飲んだらしく、面倒くさい絡み酒となった三日月と、燭台切が忙しかったためか、酒を止める人がいなかったらしく、普段の奔放さに輪がかかった状態の鶴丸がじりじり近寄って来ていた。(鶴丸は普段は足の悪いAに悪戯をするのを誘ったりしない)

「み、みかづきのことは、きらいじゃないよ…つる、またあとであそぼう」

普段は見ない三日月の様子にたじろぎつつそう言い、鶴丸には付き合って遊んだらまずい気がするという勘の元、逃げに徹した。

「嫌いじゃない？…つまり、好きではないということか…？」

面倒くさいとしか言いようのない三日月が抱きついてくる。

「わっ…！」

Aは突然抱きつかれたことでバランスを崩し、倒れてしまう(一応、三日月の腕の中)
どうしようかと困っていると、助けの手がもたらされた。

「三日月の旦那、なにしてるんだ？」

お猪口を持ちながら、若干顔の赤い薬研が呆れたように三日月に声を掛けた。

「Aがつれない態度を取るのでな…」

そう言って慌てているAをぎゅっと抱きしめれば、薬研は頭を押さえてぺりっと三日月からAを引き剥がす。

「三日月の旦那、Aが困ってるじゃあねぇか。いつものあんたらしくないぜ？Aを構うのは、ちょっと酔いを醒ましてからにしたほうがいい」

近くにいた師子王に三日月の後始末を任せ、Aを連れて縁側に出る。

「普段はあんな風に酔う人じゃあないんだがな…まぁ、しばらく寄るのは控えた方がいいな」

「わかった」

縁側に並んで腰掛けると、どこから出してきたのか、半纏をふわりとAに掛ける。

「外は寒いからな。それを羽織ってな」

「ありがとう」

こんなふうに大晦日の宵は更けていく。