34、紅白なますを作ってみようか ページ8
「さぁ、おせちを作ろうか!」
「うん」
燭台切は買ってきたものを一度床に下ろし、台を持ってきてAを座らせると、笑顔でそう声を掛ける。
「まずは…そうだなぁ……栗を剥くのは力がいるし…
…よし、今から海老を茹でるんだけど、これが鳴ったら火を止めて、水を掛けてくれるかい?」
「わかった」
ちなみにこの本丸の火はかまどではなくコンロである。
燭台切は、Aが鍋を見ている間に包丁やまな板、食材を並べていく。
そこに襷を掛けた歌仙がやってきて、燭台切の手伝いを始める。
「おや…?Aもおせちを作るのかい?」
「うん…おてつだい、してみたかったの」
「そうか、それはいい心がけだね」
歌仙は穏やかな笑みを浮かべて、Aの頭をよしよしと撫でる。Aは少し恥ずかしそうな顔でされるがままになっていたが、しばらくしてタイマーが鳴り、表情を真剣なものへと変える。
「…鳴った…!」
Aの力が弱いことを考えてか、両手持ちの鍋で海老は茹でられており、Aは両手で流しへと鍋を運ぶ。
「よいっ…しょ…!」
あらかじめ出しておいたざるの中にお湯ごと海老を入れる。
そして蛇口を捻ったところで、燭台切が声を掛けた。
「できたようだね。じゃあ、それはそのまま置いといて、紅白なますを作ってみようか」
Aを片手で抱き上げ、台をまな板の前に置き直し、そこに座らせる。
「なますって言うのは簡単に言うと、大根と人参を千切りにしたものを酢で和えたものなんだ。っていうわけで、Aちゃんには大根と人参を千切りにしてもらうよ!」
「せ、せんぎり…できるかな…」
「大丈夫、ちゃんと教えるから」
戦々恐々としているAに包丁を握らせると、適度な大きさにカットされ、皮を剥いた大根と人参をまな板に並べる。
「右手に包丁を持って…あぁ、そんなに緊張しなくていいよ。この刃のところに触らなければ怪我しないからね。左手は猫の手にゃんで…そうそう、招き猫みたいな感じ」
Aの手に自分の手を重ね、千切りをしていく。
「…よし…ある程度一緒にしたけど、後は1人でもできるかな?」
「…うん…だいじょうぶ…」
「急がなくって大丈夫だからね。慣れないうちはゆっくり丁寧に、怪我をしないことが一番大切だからね。僕も、歌仙君も隣で料理してるから、いつでも声かけて」
「わかった」
燭台切は、Aの言葉に笑顔になり、栗の渋皮を剥き始める。
歌仙は、黒豆を煮ながら二人の様子を見ていた。
35、…わるかった、つまみ食いはしない→←33、…慣れ合うつもりはないが、あんたの料理には多少興味がある
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