42、はぐれないようにしっかり手を繋いでてね ページ16
「…相変わらず人が多いな」
「まぁ、今日なんかは特にな」
「A、はぐれないようにしっかり手を繋いでてね」
「うん」
大通りに出ると、あっという間に人波に押し流されそうになる。
「きゃあ!ちょっと、ちゃんと見て歩いてよね!」
通り過ぎる人たちに押され、乱は抗議の声を上げるが、誰も聞きはしない。
「…ん〜…山姥切、ちょっとしゃがんでくれ」
「…なんだ?」
慌てて、少し人の少ないところに行くと、薬研が山姥切に座るように指示を出した。
「…よっと」
「や、やげん?」
「…なるほど。これならはぐれませんな」
軽くAを持ち上げると、山姥切の肩に乗せた。
一期が破顔し、山姥切は、Aが落ちないように気を付けながら立ち上がる。
「ありがとう」
「…いや、礼を言われるようなことはしていない」
少し照れたように俯きながらそう言うと、また皆で大通りに繰り出した。
「わぁ…よくみえる」
「そお?いいね!何かいいものがあったら教えてよ」
「わかった」
肩車をされたことによって、いままで人しか見えなかった視界に、いろんな出店などが見えるようになった。
まだ現世に来たのが2回目ということもあって、物珍しげにきょろきょろとしているAを見上げて、乱は微笑ましく思い声をかけた。
今度は、なぜか人波がパックリと割れ、スムーズに歩くことができるようになった。
ただ、少なくない人数がスマホのカメラをこちらに向けているのが気にはなったが、それぐらいでひるんだり怒ったりするような繊細な神経など、誰も持ち合わせていなかった。そんな些末なことよりも、この愛し子と過ごすこの時間のほうが大事なのである。
「あ…」
「ん?どうしたの?」
「あれ、なにかな…」
「ん〜?ボクには見えないな…この体、戦うときにはそれなりに便利なんだけど、人がいると遠くが見えないんだよね〜」
Aの言葉に、乱は背伸びをしてみるも、人波に邪魔されて見えなかった。
「…指差してみたらどうだ?俺や、一期、大倶利伽羅なら見えるだろう」
山姥切がそう言えば、こくりと頷いて、指を差す。
「あれ」
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