28、おてつだいしたい ページ2
「おおそうじ…ですか…?」
「うん、でも、Aは危ないから何もしなくていいよ」
今日はなぜだか慌ただしい雰囲気がすると思って乱に訊いてみたところ、
年末だし、大掃除をするらしい。
だが、何かを言う前になにもするなと釘を刺されてしまった。
「…どうして?わたしもおてつだいしたいのに」
「…いや、Aは脚悪いんだし、怪我でもしたりしたら事だし…」
いつもいつもお人形扱いで何もさせてもらえないのは嫌なのだ。
しどろもどろになる乱にAは畳み掛ける。
「…じゃま?」
「邪魔じゃないよ!…あ」
言質は取ったという顔でにっこりと笑うAに嫌な汗を覚える乱。
なんだか、段々と手玉に取られるようになってきた気がする…
最近は大人しいだけじゃなくなっているようだ。
でも、うれしそうに微笑む姿を見たら、まあいいか、という気持ちになる。
「じゃあ、なにをしたらいいのかおしえて?」
Aも何でもできるわけではなく、むしろできないことの方が多いという自覚はあるのか、無茶をしようとせずにちゃんと聞くあたりが可愛らしいのだが。
「…そうだなぁ……」
皆の目に届く所にいてもらいたい、と言うのが第一である。
任せた仕事はきっちりやってくれるのがわかっているので、仕事の質についての心配はしていないのだが、あんまり簡単な仕事を回すとこの愛し子はへそを曲げるだろう。
体に無理のなく、でもそれなりに達成感のある仕事を任せなければならない。
「窓掃除とか、どう?」
「まどそうじ…わかった」
Aは少し考えた後、こくりと頷いた。
乱は椅子を引きずって来ると、大きな窓の前に置いた。
「A、ここに座って窓を拭いて。無理しちゃだめだよ?」
乱はAに念を押し、濡れ布巾と、乾いた布巾を渡し、説明をすると、他のみんなの手伝いに去っていった。
もちろん、Aは、最低1振り以上の刀の目が届く場所にいる。
「んしょ…えっと…さきに濡れたので拭いて…上から…」
椅子によじ登ったAは仕事を丁寧にやり続けた。
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