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卒業式の日。
私は、目尻がヒリヒリするくらい泣いた。
多分、卒業式の写真はぐっちゃぐちゃな顔で写ってると思う。
これが一生みんなの元に残るなんて最悪。
「A〜！写真撮ろー！？」
色んな人と写真を撮りあいっこして。
スマホの画像欄は、容量一杯になった。
ひと段落ついて、今居る正門前から大きな校舎を見渡す。
「卒業おめでと」
振り向くと、相葉先生が立ってた。
「フフッ、ありがとうございます」
「そういえばAさん、あれ何？」
「あれ？」
「ニコちゃんマークだけだった」
「あぁ、色紙？」
本当に何書けばいいのか分からなくなって、結局ニコニコマークとお礼と名前だけ書いた。
「もっと書くことあるでしょ？ほらぁ！」
手で仰いで、カモン！とか言ってる。
「無かったの」
「つまらん生徒」
「ちょっと！」
「アハハッ！ウソウソ！あ、そうだ。」
「ん？」
「Aさん、後で自分のクラスの教室来て？」
「え？」
「待ってる」
じゃあねん、って手のひらをヒラヒラ振ってほかの生徒のとこに行った。
『待ってる』なんて、そんな顔で軽々しく言わないで。
まだ、この恋心を諦めようと頑張ってる最中なんだから。
.
「居た」
「お、来た」
教室の扉を開けたら、相葉先生は窓から外を眺めてた。
「生徒とここを眺められんのも最後だってさ」
「でも生徒って、みんな帰ったし」
「Aさんだって生徒でしょ」
アハッ、と笑いながら先生は自分のポケットの中を探り始めた。
「はい」
「...なにこれ」
「ささやかなお礼です」
「なんの？」
「俺を笑顔に戻してくれた、あの時の」
「今更？(笑)」
今更で何が悪い！って顔してる。
箱の中開けたら、立派なペンが入ってた。
「学生には筆記具かなと思って」
「え...高そ」
「ゲスいよ(笑)」
「悪いよ先生」
「いいんだよ、別に(笑)」
相変わらず先生は花粉症で。
今も鼻が少し赤い。
「ホントに世話になったし」
「...」
「ありがとね」
ジッと見つめられて言われた。
「...」
微笑みながら、私から視線が離れてまた窓の外に視線が戻った。
私の青春は、これで終わり。
子供が大人と恋愛しちゃいけないのなんて、分かってるから...。
先生を、目に焼きつけることしか、できなかった。
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さんご(プロフ) - しおりさん» はじめまして、しおりさん。コメントありがとうございます。そんなこと言って頂けるなんて、もう嬉しい限りです(笑)こちらこそありがとうございます(´ω｀) (2019年9月21日 12時) (
レス) id: e1b1cf4c3f (このIDを非表示/違反報告)
しおり(プロフ) - はじめまして。どのお話も優しくて、心が温かくなりました。さんごさんの丁寧な言葉の紡ぎかた大好きです。多分何度も読みに来ちゃうやつだ(^^)ありがとうございます。 (2019年9月21日 7時) (レス) id: 072c120661 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さんご | 作成日時：2019年8月15日 16時
