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「一度。」
「...？」
先生は、"その理由"を話し出した。
自分でやる初めての保護者会があってね。多分緊張しまくってたから、愛想笑いっていうか。すごいニコニコしてたんだと思う。
でもその保護者会が初めてでスムーズにいかなかったせいか、謝った時に、あんなにヘラヘラ笑ってたらミスもしますよね、って言われた。
遊んでる、...って思われたの。
思わず眉間にシワがよった。
「それは俺のせいだった。でも笑顔は関係ないって、...思ってたけど...」
「...」
「一度そう言われたからか、それが教職員内でもそんな雰囲気ができてきて」
「...」
「なんとなく、笑うことが怖くなった。サボってるって思われるようになったの。
あの時は、何をやってもミス！ミス！って言われるようになってたから、多分メンタルに来てたんだろうね(笑)
ただの自己防衛だよね。笑わない、っていう。」
ハハッ、って乾いた笑い声を出した先生。
「もう転勤して、その学校にはいないし。
こうして良い生徒にも恵まれてるし。
また、笑ってみるのもいいかもしれないね」
微笑んだ先生は、コーヒー牛乳を最後まで飲みきって自販機の隣のゴミ箱にポイッと捨てた。
「ねぇ、先生」
「ん？」
「私、先生の力になれた？」
そう訊くと、先生はフフッと笑い出して大きく頷いた。
そんなことを訊いた自分にこの瞬間、私は相葉先生に恋したんだと気づいた。
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あれからずっと、先生と仲良く話しては授業のわからない所を聞きに行った。
授業の内容がわかってても、先生のところに行くようになった。
『笑った方がいい』
そんな話をしてから、１年半。
相葉先生は、人気な先生のひとりになった。
あの話をした直後は、『相葉先生、どうしたの？』なんて声もよく聞こえたけど。
もう今は、笑ってる先生が“普通”で。
大声で笑ってる先生が“普通”で。
「ね、ね、A〜」
「んー？」
「相葉先生へのメッセージ書くことになったから、この色紙に書いて〜」
「おっけー」
今年、私は卒業する。
また、相葉先生も転勤で他の学校に異動するらしい。
「何書けばいいかな」
「仲良かったもんね、A」
「もう喋ることもないくらい、喋った？(笑)」
「そんなことは無いよ(笑)」
むしろ、こんなに喋ってたってまだ喋り足りない。
だから何書けばいいのか、まとまらないんだ。
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さんご(プロフ) - しおりさん» はじめまして、しおりさん。コメントありがとうございます。そんなこと言って頂けるなんて、もう嬉しい限りです(笑)こちらこそありがとうございます(´ω｀) (2019年9月21日 12時) (
レス) id: e1b1cf4c3f (このIDを非表示/違反報告)
しおり(プロフ) - はじめまして。どのお話も優しくて、心が温かくなりました。さんごさんの丁寧な言葉の紡ぎかた大好きです。多分何度も読みに来ちゃうやつだ(^^)ありがとうございます。 (2019年9月21日 7時) (レス) id: 072c120661 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さんご | 作成日時：2019年8月15日 16時
