第十八話 瞳の中の雫 ページ36
閉ざされていた目を開き、初めに視界に入ったのは自室の白い天井。自分が倒れていた事に気付いたのは握られている手を確認してからだった。握られている手はとても温かくて、でも汗ばんでいてその手は誰のものかはわからなかった。
「私は…、そっか。倒れていたのね。」
少しだけ身体を起こし、窓の外を見る。朝日が登ってきて、時刻は恐らく7：30頃だろう。
窓辺に少しずつ明るく輝り出される光に私は開いてる手で目元を覆う。
「んん、あっA。目覚めたのですか!?」
ずっと手を握ってくれていたのはシオンだった。眠れていなかったのだろうか、目の下にはうっすらクマができていた。シオンは私を見てはすぐに抱きついた。
「嗚呼、A。本当に心配しました。何故貴女は一人で抱えるのですか。
私達が貴女に支えられているように、私も支えたいのです。もう倒れるまで無理をしないで。
Aは一人ではないのです、私達がついています。どんな過去があったか知りません。
でも、それで貴女をリムル様も私達も嫌いになったりしません。」
彼女は泣いていた、私のために流してくれた涙。私の事で涙を流してくれるのは初めてだった。彼女の涙は私の深い孤独に届いた。そして、私の腕は彼女の肩に巻きついた。
「貴女って方は…何でこうも愛おしいのです。私は過去に男性に乱暴された過去があります。私は好きでもない、しかも親戚である伯父に純潔を奪われたのです。彼は私のことをただの道具として扱っていました。それに私は妹を守ることが出来なかった。守るべき者があるのに守れなかった。そんな私でもいいのですか？汚くはないですか？ここにいる資格はありますか？」
ここまで打つ開けたのはシオンが初めてだった。今まで抱えていた心の乾きが押し寄せる。長い間抑えていた涙は止まることはなかった、むしろ止めようとしなかったのかもしれない。シオンは更に強く抱きしめた。
「なあ、A。そんなこと気にしていたのか？ 皆がそれくらいで引くわけねえよ。
Aがずっと隠して生活することのほうが俺らは辛いよ。大丈夫、汚くなんかない。
それになこう見えても俺らはそんな弱くないよ。」
目線を上げるとそこにはリムルさんやベニマル、ソウエイ、シュナ、ハクロウさん達など多くの人びとがいた。そうか、彼等は隠し事が何よりも嫌だったのだ。言ってしまった方が良かったのだ。
「なんだ、簡単な事だったんだ。」
その言葉と共に出た笑顔はもう雲一つなかった。
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朱里(プロフ) - 続けてすみません。第十三話のエレンの名前が〇〇〇になってます。意図的だったらすみません (2021年12月11日 19時) (
レス) @page27 id: 1848b8e1d2 (このIDを非表示/違反報告)
朱里(プロフ) - 楽しく読ませていただきました！第四話から出でくる〇〇〇ジンとはどのキャラですか？ (2021年12月11日 19時) (レス) @page7 id: 1848b8e1d2 (このIDを非表示/違反報告)
山北(プロフ) - ユトさん» ユト様→ご指摘ありがとうございます。訂正致しましたのでご覧になってまた違和感がありましたらご指摘お願い致します！ (2019年4月14日 19時) (レス) id: 79f5829be5 (このIDを非表示/違反報告)
ユト(プロフ) - とても面白いです！あと、ミリムの名前は、ミリム・ナーヴァですので訂正お願いします。 (2019年4月13日 6時) (レス) id: 7c4b452e79 (このIDを非表示/違反報告)
山北(プロフ) - 暇人114514号さん» 暇人114514号様→いつも読んで頂き有難う御座います。名前が同じとは光栄です笑 また、更新していくのでもしよろしければ又宜しく願い致します笑 (2019年4月4日 17時) (レス) id: 760c82b915 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：山北 | 作成日時：2019年3月20日 0時
